海自の練習艦ついに「ネット開通」で世界が変わる! 動画も見放題!! 危険のタネだった“Wi-Fi飢餓”解消の意味

外洋でYouTubeが見られる!?

 5月20日からの令和6年度遠洋練習航海で試験が実施されており、その内容は世界中の通信状況変化を確認すること。器材の耐久性や実際の通信量、福利厚生として乗員間のパケット割り当て、パケットプランの最適条件の見極めなどです。使い勝手は新幹線や旅客機のWi-Fiサービスと同じということなので、対応端末の機種や利用者数などによって、通信の遅延や接続しづらくなる事象は起こりえるそうです。

「かしま」では勤務時間外であれば使用に制限はなく、動画など大容量通信も原則自由で、YouTubeも見られることになりそうです。通信の常時監視も行わないとのこと。練習艦隊は行動を公開しており、保全上の制約が少なく世界中を航海する点で試験には好都合です。デジタルネイティブ世代の訓練実習生にとっても「嬉しいし、ありがたい」ので、最初の導入が練習艦という理由も納得です。

 乗組員のネット環境問題はどの国の海軍でも課題としており、スターリンクは解決策として注目されています。アメリカ海軍でも導入が始まったほか、海上自衛隊では今後3年程度で9割の艦艇に装備していくことを目標にしています。

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ルーターは食堂テレビ台に置かれており、今のところネットが使えるのは食堂に限られる(月刊PANZER編集部撮影)。

 ネット環境は衣食住と同レベルの生活必需アイテムであり、単なる福利厚生以上に兵站(作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動を指す)のひとつになっています。練習艦の甲板に付いた小さなアンテナは目立ちませんが、海自の戦力維持に重要な役割を果たすことが期待されています。

 艦内では現在、「真水の節約」が謳われていますが、今後は「パケット使用量の節約」などという語句が掲出される日が来るかもしれません。

【了】

【写真】これが試験導入された「スターリンク」ルーターです

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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