海自新型「ドデカ水上戦闘艦」に搭載の“神エンジン”とは 人員削減時代の“新兵器”見据えた選択に?

海上自衛隊が建造するイージス・システム搭載艦に、ロールス・ロイス製の船舶用ガスタービン・エンジン「MT30」が採用されました。同艦を通じた海上自衛隊の将来を鑑みると、このエンジンは最適と言えるかもしれません。

「GE」ではなく「RR」に! イージス艦のエンジン決定

 イギリスのロールス・ロイスは2024年5月30日、海上自衛隊が建造するイージス・システム搭載艦に、同社の船舶用ガスタービン・エンジン「MT30」が採用されたと発表しました。

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同じく「MT30」を搭載しているもがみ型護衛艦(画像:海上自衛隊)。

 イージス・システム搭載艦は、配備が中止された陸上配備型イージス・システム「イージス・アショア」の代替となる艦艇で、2024(令和6)年度から2隻の建造が予定されています。

 海上自衛隊は2024年6月現在、イージス・システム搭載艦と同様、弾道ミサイルの迎撃能力を備えたイージス戦闘システムを備えたイージス護衛艦を8隻保有しています。

 これら8隻のイージス護衛艦のうち、こんごう型とあたご型は4基のガスタービン・エンジンによって航行時の動力や必要な電力をまかなうCOGAG(COmbined Gas turbine And Gas turbine0方式)、まや型は燃費を改善するため、2基のガスタービン・エンジンで発電機を駆動してその電力で発電や低速航行・巡航を行い、高速航行時には2基のガスタービンを併用するCOGLAG(COmbined Gas turbine eLectric And Gas turbin)方式を、駆動方式としてそれぞれ採用しています。

 こんごう型とあたご型、まや型は駆動方式こそ異なりますが、ガスタービン・エンジンは一貫して、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)が開発した、LM2500シリーズを使用してきました。

 LM2500シリーズは全世界で1000基以上が製造されたベストセラーガスタービン・エンジンで、海上自衛隊でもイージス護衛艦のほか、いずも・ひゅうが両級のヘリコプター搭載護衛艦やあさひ型護衛艦などにも採用されるなど、実績面では申し分ありません。 

 にもかかわらずイージス・システム搭載艦の主機にMT30が採用された最大の理由は、イージス・システム搭載艦で重視されている「経済性」とその大きさ、そして将来性にあるのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【確かに、整備楽そう…】これが、MT30エンジンの構造です(写真)

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