海自新型「ドデカ水上戦闘艦」に搭載の“神エンジン”とは 人員削減時代の“新兵器”見据えた選択に?
レールガン使用も見据えた選定?
MT30は既に5隻が就役し、3隻が建造中のもがみ型護衛艦にも採用されており、今後はMT30の整備に慣れた隊員が増加していくものと思われます。
イージス・システム搭載艦は基準排水量でまや型(基準排水量8250トン)を上回る基準排水量1万2000トンに達する巨艦となる見込みですが、その一方で乗員はまや型の約300名から240名に削減される予定となっています。
少ない乗員数で艦艇を効率的に運用するためには、整備性の向上が必須条件となります。そのことを考慮すると、整備にかかるマンパワーを低減でき、かつ整備に慣れた隊員の増加も見込めるMT30は、イージス・システム搭載艦にうってつけのガスタービン・エンジンと言えます。
また、防衛省は艦艇に搭載するレールガンの開発を進めています。防衛省が開発を進めているレールガンは弾道ミサイルや航空機などの対空目標の攻撃も想定しており、実用化されればイージス・システム搭載艦にも搭載されるものと考えられます。
艦載型レールガンの実用化にあたっては、砲弾を打ち出す大きな電力をどうまかなうかが、課題の一つとなります。
MT30は、これまで自衛隊の護衛艦に使われてきたLM2500やLM2500を拡大したLM6000よりも電力供給量が大きいのも特徴です。艦載型レールガンが実用化されてイージス・システム搭載艦に搭載されることになれば、MT30をイージス・システム搭載艦の主機に選択した防衛省の判断は、さらに合理的なものになるのではないかと思います。
【了】
※一部修正しました(6月10日12時13分)。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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