珍しい「折れ曲がるダンプ」どんなメリットが? 日本の建設会社がメッチャ欲しがった理由

痒いところに手が届くようなつくり

 また「C815」が日本で販売されている一番の理由は、既存のダンプにない車体サイズにあるようです。さらに、実際に車両を見てみると細部の質の高さに驚かされます。

 まず、安全性については、オフロードでの走行やダンプアップが安全に行えるよう、車両には複数のセンサーが装備されています。たとえば、車体が斜めの状況ではセンサーがそれを感知して、横転しないようにダンプアップをできなくする自動の安全策が採用されています。

 運用やメンテナンスについても、人間と比較すると大きな車体ではあるものの、燃料の給油口とアドブルー(尿素水)の注ぎ口は右前のバンパー部分に集約され、アクセスしやすくなっています。運転席後方にあるエンジンも、カバーは左右に開くオープンボンネット式になっており、脚立などを使わず地面に立った状態でエンジン周りの整備作業が行えます。

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「C815」のシャシーは中央で折れ曲がる多関節式で、これによって小回りの利いた走行が可能となっている(布留川 司撮影)。

 ダンプトラックとして一番重要な荷台は、最大積載重量が1万2000kgもあり、メーカーの説明によると従来のダンプと比べて20%増しなのだそう。荷台を上げて積載物を下ろすダンプアップも、通常モデルでは尾部を支点に上げ下げするだけですが、派生型の「C815S」ならば90度旋回させて左側面に落とすことができ、さらに「C815 3-way」では荷台を左右と後方の3方向に傾けることができます。

 この「C815」は、海外ではオフロードだけでなく舗装された一般道をこのまま走行し、荷台にタンクを積んで散水車などとして使われることもあるそうです。現時点では日本国内の公道を走行することはできませんが、メーカーによればナンバー取得に向けて動いているそうです。

 舗装道路を走行する場合はタイヤを履き替える必要があるとのことですが、メーカーによると公道走行が可能になれば、将来はより多くの工事現場での活躍だけでなく、そのオフロード走破性から大規模災害によって道路が破損した被災地での活躍なども期待していると話していました。

【了】

【ココが折れ曲がるのね!】日本じゃレアな多関節式ダンプ 構造をじっくり見る(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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