ウクライナもらってくれ!? 南米の大国が供与表明の“虎の子”攻撃機 ホントに使えるの?
アルゼンチン政府が策定したウクライナ支援の目録に、40年以上前に実戦で名を馳せた傑作攻撃機が含まれていたそうです。アルゼンチンにとって譲渡するのはもったいないように思えますが、どうも自国にあっても意味がない模様です。
どうせ使えないならウクライナに譲ったほうがマシ?
フォークランド戦争以降、イギリスは武器に関していまだアルゼンチンに対する禁輸措置を継続中で、脱出時にキャノピーを吹き飛ばす火薬カートリッジを入手できない状況が続いています。
この射出座席の問題が原因で、アルゼンチンはせっかく購入した機体を一度も飛行させられないでいます。
ただ、逆に言うと、アルゼンチンとしてはどうせ使えないならばウクライナに送っても差し支えない、という考えが働いたものと推察もできます。
とはいえ、実際の供与にあたっては、機体や搭載機器を開発したフランスとイギリスの協力が必要不可欠です。また、あまり効果的であるとは言えないため、実際に供与されるかどうかは、かなり「No」に近いグレーであると言ったところでしょうか。
アルゼンチンは2024年4月に、デンマークから中古の戦闘機F-16AM「ファイティング・ファルコン」を合計24機、トータル約3億2000万ドル(約460億円)で購入しています。デンマークは残る30機のF-16AMをウクライナへ供与しているため、両者は同じ戦闘機を使うことになると言えるでしょう。
ということは、アルゼンチンは自国向けの中古F-16を1機ウクライナへ譲るだけでも「シュペル・エタンダール」5機よりはるかに意義のある支援ができるのかもしれません。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
コメント