「A-10を退役させろ」ついに年貢の納め時? スーパー攻撃機も「現代戦では使えない」を示したロシアのライバル機

敵が高性能な防空システム持っていると…

 公開情報を基に、ウクライナとロシア、双方の損害情報を集計している民間の情報機関「oryx」の報告によれば、ウクライナ軍との戦闘において、わずか2年間で約30機ものSu-25が撃墜されたそうです。また、2022年以前の東ウクライナを巡る戦いにおいても、Su-25はかなりの損害を出していると推測されます。

 損失の主な原因は、Su-25が低高度での作戦行動を余儀なくされている点にあります。ウクライナでは、比較的高い高度は地対空ミサイル(SAM)によってカバーされており、作戦を行うことが困難になっています。一方、低空は携帯型防空ミサイルシステム(MANPADS)の脅威が顕著で、Su-25は低速であるがゆえに、これら防空システムに対して脆弱であり、結果として大きな損失を記録しているのです。

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地上へ向けて30mm機関砲を射撃するSu-25(画像:ロシア国防省)。

 これらSu-25の被害状況を鑑みると、同様のミッションをA-10が行った場合、同じような結果になる可能性が非常に高いと言えます。A-10も低速での作戦行動を前提として設計されており、現代の高度な防空システムに対しては脆弱です。つまり、国家間戦争を想定した場合、A-10はその性能を十分に発揮できず、むしろ戦場でのリスクを高めてしまうと言えるでしょう。

 対テロ戦争の時代には、A-10はその独自の強みを生かして多大な戦果を上げてきました。敵が高度な防空能力を持たないため、A-10は自由に低空での攻撃を行うことができました。しかし、時代が進み、国家間戦争が再び注目される現代においては、A-10のような機体の有用性は限られています。

 同じ予算の中で装備を調達するなら、多用途に使える戦闘機を優先しようという考え方は、現代においては妥当です。SNSなどを始めとして、いまだA-10の有用性を強く主張する人たちも見受けられますが、今回もまた退役を撤回させられるのか、今度ばかりは厳しいと言えるかもしれません。

【了】

【爆弾架いくつあんの!?】兵装モリモリぶら下げたA-10とSu-25を見る(写真)

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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