デカいデカすぎる!「世界最大のLNG船」誕生へ 一挙18隻「中国で」建造へ
中国とカタール まさに「蜜月」
「QC-Max型」を建造する滬東中華造船は、全18隻のうち8隻を2028年と2029年に、残り10隻を2030年から2031年にかけて納入する予定です。保有する船会社については現段階では4隻が招商局集団の招商局能源運輸(CMES)、3隻が山東海洋集団、2隻が中国液化天然気運輸(CLNG)と、いずれも中国船社が占めます。
滬東中華造船はこれに加え、カタールエナジーからLNG船隊の整備計画の一環として、標準型となる17万4000立方メートル型LNG船12隻を受注しており、2024年の第3四半期(7-9月)中に1隻目が引き渡される見通しです。
今回の建造契約はエネルギー分野で中国とカタールの協力関係がさらに強化されたことを示します。2023年、カタールから中国へのLNG輸出量は年間約1700万トンに達しました。
なお、カタールエナジーが新造整備するLNG船122隻は、滬東中華造船のほか、韓国のHD現代重工業、サムスン重工業、ハンファオーシャン(旧大宇造船海洋)が建造を担当します。かつてLNG船の建造で世界をリードしていた日本の造船所の姿はありません。
日本は年600万トン規模のLNGを毎年カタールから輸入してきましたが、世界のLNG供給の不確実さを背景に長期調達契約を相次いで打ち切って以降、2023年には岸田首相が10年ぶりに首相としてカタールを訪問するなど、関係を模索しています。
この間、2023年に中国はカタールからLNG以外に原油、ナフサ、LPG(液化石油ガス)、ヘリウム、肥料・ポリマー・化学品なども多く輸入しており、カタールが主要な供給国となっています。
こうした関係強化を背景に中国企業のカタール進出も進んでおり、中国はカタールが進める世界の天然ガス埋蔵量の約10%があるともいわれるノースフィールドガス田の拡張プロジェクトで権益の一部を取得しました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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