発車時刻に遅れたら“置き去り”は本当? そもそも「車外に客出さない」場合も 高速バス「休憩」の変化

高速バスの運行中にトラブルが生じやすいシーンが、SA・PAなどでの休憩です。各社があの手この手で“乗り遅れ”を防いでいますが、そもそも客を車外に出さない事業者も。乗務員にとっても休憩は運行上ますます重要になっています。

高速SAに着いても休憩は「乗務員だけ」

 高速バスがサービスエリア(SA)などで休憩する際、乗務員の交替だけで、利用者は車外に降りられないケースがあります。「売店に行きたいのに」と感じる人もいるかもしれませんが、休憩時に降りられないのはどんな場合でしょうか。

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高速道路の休憩施設に停まる高速バス(成定竜一撮影)。

 そもそも、高速バス乗務員の運転時間には規制があります。運行管理の基本となる「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」で、「運転時間4時間に対し合計30分以上の運転の中断」が必要とされています。また、「高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準」では、運行計画上、連続運転はおおむね2時間までとされています。

 そのため、同乗している乗務員間での運転の交替(ツーマン運行の乗務員交替)や、地上で待っている別の乗務員への交替(ワンマン乗り継ぎ運行)の際は、交替さえできればよく、必ずしも休憩をする必要はありません。一方、ワンマン運行で、片道2時間強を超える路線では、休憩が必須となります。

 昼行路線はワンマン運行が多いので、片道2時間以上の路線ではほぼ必ずSAなどで休憩をし、利用者も車外に降りられます。利用者が降りられる休憩のことを「開放休憩」と呼びます。

 しかし、夜行路線では「開放」するかどうか、事業者のタイプによって分かれます。

 まず国鉄バスの流れを汲むJR系事業者は、多くが開放休憩です。1969年、東京~大阪間の夜行路線「ドリーム号」を運行開始した頃からの伝統と考えられます。ただし、ワンマン乗り継ぎを行うためだけにSAや営業所に停車する場合など、例外もあります。

 私鉄系事業者の夜行路線は、以前は多くが開放しない方針で、SAで停車してもツーマン乗務員の交替にとどめ利用者は降りられませんでした。これら私鉄系事業者の夜行路線は、1980年代に3列独立シート、トイレ付き車両の登場とともに成長したからです。3列独立シートは各シートが必ず通路と隣接しており、走行中でも周囲の乗客を起こすことなく車内トイレに向かうことができたからです。

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