「エンジン多けりゃ速いんじゃない?」実は双発にしたけど無理だった! それでも“使えた機体”とは?
なぜ第二次大戦中の代表的なレシプロ戦闘機のエンジンは1基ばかりなのでしょうか。エンジン増やせば速度上げられるし、武装も大量に積めそうです。実は各国で行われたものの、実戦ではそうではありませんでした。
エンジン2つ積んでも「超強い!」とはならない…
第二次世界大戦で運用された戦闘機を確認すると、なぜかプロペラが機体中央に配置された、エンジンが1基のいわゆる単発機が圧倒的に多いです。ジェット戦闘機が圧倒的に多い現代では、エンジンを2基搭載する機体も珍しくありませんが、プロペラ推進が主流だった80年前のレシプロ戦闘機はなぜ、エンジン1基のものばかりなのでしょうか。
実は第二次世界大戦中もエンジン2基の戦闘機は存在しました。しかし、そのほとんどは成功しなかったのです。
世界の主要な航空機生産国では、第二次大戦の以前から爆撃機の航続距離が伸びるにつれ、1人乗りの単発戦闘機よりも燃料や武装を多く積める双発戦闘機に大きな期待が寄せられるようになっていました。
長距離を飛ぶ爆撃機を護衛でき、2基のエンジンによる大出力で単発機を上回る高速を発揮、加えて機体を大型化することで機内容積にも余裕がでるため、20mmや30mmなどより大口径・大威力な機関砲を搭載できるからです。
大戦直前にはこうした双発機に、爆撃機の護衛だけではなく通常の空戦や基地防衛、偵察などまで担わせようという、万能戦闘機ともいえるモデルが各国で構想されました。
しかし、できあがったものの多くは、エンジンのパワー不足で旋回性能や高速性が単発機よりも劣っており、通常の空戦には対応できない低性能なものばかりでした。逆に、エンジン単発で軽量な戦闘機を飛ばした方が、機動力に富み空戦向きだったのです。ただ、それでも開戦初期は長い航続距離などが買われて実戦投入されています。その代表例といえるのが、ドイツのBf110でした。
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