戦艦が「うっかり爆沈!」実はけっこうあった? 史実が語る旧日本海軍のガバナンス

116年前の7月12日、旧日本海軍の戦艦「河内」が爆沈しました。この事故以外にも旧日本海軍は度々、艦艇を爆沈させていましたが、ほとんどが闇に葬られていました。

ずさんな管理 でも「河内」はまだマシなほう?

「河内」の同型艦である戦艦「摂津」は、「河内」の爆沈から5年後の1923(大正12)年、列強海軍の艦艇保有数を定めた「ワシントン軍縮条約」のために戦艦から砲撃訓練や爆撃訓練に使用される標的艦(日本海軍での呼称は特務艦)に変更されています。このため仮に「河内」が爆沈していなかったとしても、「摂津」の代わりに標的艦となっていたか、ワシントン軍縮条約の制約で廃艦になっていたかもしれません。

 とはいえ実戦や条約によらず、多額の国民の税金をつぎこんで建造した戦艦を事故で失ってしまったのは、日本海軍、さらに言えば大日本帝国にとって痛すぎる事態であったのは確かだと思います。

 実を言うと日本海軍が事故で戦艦を失ったのは「河内」が初めてではありません。その約1年半前の1917(大正6)年1月12日、巡洋戦艦(建造時は装甲巡洋艦)の「筑波」を、やはり火薬庫の爆発により失っています。

 また、前述した「三笠」は、現在も神奈川県横須賀市に静態保存されていますが、実のところ一度爆沈しています。

「三笠」が爆沈したのは日露終結間もない1905(明治38)年9月11日のことで、入港していた佐世保港で後部火薬庫が爆発したためです。「筑波」に比べて浅い海で爆沈しており、同艦に比べれば引き揚げて再就役させることは簡単だったのではないかと思われますが、「筑波」では諦めた浮揚と再就役を「三笠」で行ったのは、やはり「三笠」が武勲艦だったからなのかもしれません。

「河内」の爆沈は、常用期限を5年以上経過した古い火薬の発火によるものと推定されています。実は「筑波」の爆沈の調査を受け、火薬の保管方法に対して誘爆の危険性が指摘され、その改善も求められていましたが、「河内」の爆沈後、同艦を含むほとんどの艦で対策が行われていなかったことも明らかになりました。

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巡洋戦艦「筑波」(画像:パブリックドメイン)。

 危険性が指摘されているにもかかわらず無対策のままで「河内」という貴重な戦艦を失ってしまうこと事態、とんでもない話なのですが、ありがちなヒューマンエラーで爆沈したとすれば、「河内」はまだマシだったのかもしれません。

【え…これが戦艦「陸奥」の「一度爆沈した痕跡」です(写真)】

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