海自の「新型艦」必要性に疑問符「その仕事、無人機でよくね?」 実は“全然ちがう役割”の可能性も!?

役割が被りそうな哨戒艦の“別の使い道”とは?

 哨戒艦は2018年末に策定された防衛大綱で12隻の建造計画が打ち出され、2023年度予算に4隻分の建造費が計上されていますが、やはり情報収集・警戒監視という主任務が滞空型無UAVと重なるうえ、無人機の方が索敵範囲も広いです。このため一部の識者からは哨戒艦の導入そのものを疑問視する声も上がっていました。

 この件に関しては、哨戒艦が哨戒以外の任務を兼ねる可能性についても考えられています。

 防衛相は2022年5月に「コンテナ式SSM」、つまりコンテナ型に収納された対艦ミサイル発射装置の公募を行っていますが、このコンテナ式SSMは必要に応じて哨戒艦などに搭載できるものと定義されています。

 こうしたコンテナ搭載型のミサイルは既に、アメリカ海軍がコンテナ発射型VLS(垂直発射装置)として実験しており、対空・対艦ミサイルのほか、将来的には敵性勢力の防空網の射程外から発射する「スタンドオフミサイル」の一種である「トマホーク」巡航ミサイルなどの導入も考えられています。

 実用化されれば、艦艇運用の柔軟性も大きく向上し、哨戒艦を実質的にミサイル発射艦艇としても保有することができます。

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哨戒艦の完成イメージ(画像:防衛省)。

 実際にコンテナ式SSMが哨戒艦に搭載されるのかはわかりませんが、仮に搭載されるとすれば、哨戒艦はヨーロッパ諸国などの同種艦とは異なり、情報収集・警戒監視を主任務とする艦から、退役するはやぶさ型ミサイル艇の後継艦という位置づけの艦へ変質していくかもしれません。

【了】

【箱の中から発射!】これが、コンテナから飛び出すミサイルです(写真)

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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