「首都高かよ!?」福島駅の山形新幹線向け新アプローチ線 驚愕のアクロバティック形状を見てきた
まるで「首都高速」みたいな立体交差
現在あるアプローチ線は東北新幹線から分離し、奥羽本線に沿ってカーブを描きながらゆっくり地表へと降りていきますが、新アプローチ線では東北新幹線の高架の下をくぐって上昇する必要があります。
さらに、東北新幹線をくぐる地点から福島駅ホームまでのほぼ中間には、地表を走る奥羽本線、東北本線、阿武隈急行線、福島交通飯坂線をまたぐ形で陸橋が架かっています。
これは、福島県道310号庭坂福島線の「西町跨線橋」。この道は福島駅の東西を結ぶ重要なもので、この跨線橋をまたぐ形で上を横切る必要があります。一方で急勾配になると新幹線が登れなくなってしまうため、新アプローチ線ではそうならないよう外側に大きく開いてから東北新幹線の高架と接続する形になりました。
ただ、大きく外側に開くといっても、使える用地には制限があります。曽根田駅(福島交通飯坂線)前の踏切をまたぎつつ、地表を走る在来線に橋脚で支障が生じないようギリギリまで接近して距離を稼ぎながら高度を上げ、跨線橋の上を横切って東北新幹線の高架に合流する様子は、まるでビルの合間を縫って建設された都心の首都高速道路を見るかのようです。
新アプローチ線建設工事は2024年夏現在、高架部分に線路を敷設する工程が進められています。福島駅の上り11番線は現在、定期列車の発着がありませんが、完成後はこちらで上り列車の併結作業が実施される予定です。
今後は2026年度末(2027年3月)の供用開始を目指し、線路のほか架線などの設備工事が進められます。完成後は運転間隔の調整がしやすくなり、ダイヤが乱れてもより早く復旧するといったメリットを乗客が受けられるようになることでしょう。
【了】
Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)
ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。
コメント