日本の国益を守るため 海上保安庁の最新船「光洋」知られざる任務に迫る! 姉妹船にはない“唯一無二”の装備も

まだまだ増えるぞ海保の測量船

 このように、さまざまな機能を持つ大型測量船の「光洋」が建造された理由について、海上保安庁は「近年、日本の排他的経済水域において中間線を越えた境界画定を主張している国がある中、日本周辺海域において、外国海洋調査船による日本の同意を得ない調査活動などが多数確認されるとともに、その活動海域も広域化している」と背景を説明します。

 海上保安庁いわく「日本の海洋権益を守るためには、国内関係機関との協力・連携を進めつつ、他国による日本とは異なる境界画定の主張に対応するために必要な海洋調査を計画的に実施し、あらゆる科学的調査データを収集・整備しておく必要がある。このように必要な海洋調査体制を強化するため、大型測量船の整備などを進めてきた」とのことでした。

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「光洋」の第1観測室に並ぶモニター(深水千翔撮影)。

 このように、日本の海洋権益を守るために欠かせない存在の測量船。周辺国や国際機関に科学的な調査に基づく客観的各種データを提示して日本の権益を主張できるよう、最新装備を搭載した高機能な新型測量船の建造が計画されています。

 直近でいえば、2024年度中に27m型測量船が就役し、第10管区海上保安本部に配備される予定です。加えて、本庁の海洋情報部向けに新たな大型測量船の整備も計画されています。

 同船は測量船「拓洋」の代替船と見られ、2027年度からの運用開始を予定しています。同庁は「水路測量及び海象観測などの安全かつ効率的な作業ができるよう、最適な船型・装備設計を行い、測量機器などの高機能化を進め、効率化、省力化を図っていく」と述べています。

 海底地形調査が得意な「平洋」、海底地質調査が得意な「光洋」。それぞれが持つ最新鋭の機器を活用し、海洋権益の確保はもちろん海洋資源や防災といった、海にまつわる多くの調査を担うことを期待しています。

【了】

【食堂や船橋も】まだピカピカの最新測量船「光洋」中から外までイッキ見(写真)

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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