中国経済も減速気味だし… コンテナ船”巨艦化”はもう無理?「2万4000個が限界」の納得な理由

船体大きくしても「コスパ悪いだけ」の恐れも

 なお、これらの総工費は1000億円以上に達し、投資額としてはかなり巨額です。中にはすでに「3万TEU」クラス対応済みの港もあるようですが、数か所にすぎません。仮に「3万」対応となれば、二大航路上の主要港の大半は、新たに1000億円以上の投資が必要となるため、「本当に必要なのか」という疑問が出ても不思議ではありません。

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コンテナ船とガントリークレーン(画像:写真AC)。

 2つ目が、投資効率が悪く採算がとれないということです。

 これは、ひとつ目とも重複しますが、これ以上コンテナ船を巨大にしても、投資額に見合う利益が出ないのでは、つまり「費用対効果」が悪くなるのでは、という心配です。

 仮に「3万TEU」クラスを例に挙げると、サイズは「全長450m以上、全幅70m以上、喫水18~20m」と想定され、建造費は「2万4000」クラスの1.5億~2億ドル(約230億~310億円)の約3割増し、2億~2.7億ドル(約310億~420億円)と推測されます。

 さらに前述のように、港湾インフラのさらなる改修にも、1000億円単位の投資が必要です。

 その反面、これに見合うだけのコンテナ需要の伸びが、果たして今後も続くかと言えば、全くの未知数です。

 実際、中国経済は減速傾向に入っています。コンテナ船は「満載の7割」が利益の出る最低ラインで、「2万4000」クラスなら、単純計算で約1万7000TEU以上のコンテナを集めなければなりません。

 しかも大型コンテナ船は定期航路での運用が常識で、「毎週月曜日12時出航」というように、運航スケジュールは厳格で、普通は積荷がゼロでも出航しなければならない決まりです。

 これが「3万TEU」ならば、採算ラインの「7割」は2万1000TEUですから、これだけのコンテナを常にかき集めなければ赤字に陥ります。

【最初は小さかった】60年前に竣工! これが日本初のコンテナ船です(写真)

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