「儲かるわけがない」鉄道・バス 今こそ脱皮を コンサル2社がプログラム提供
「あれば乗ってくれる」はとうに終わっている!
コンサル2社が「マーケ感覚」を身に付けるプログラム提供
鉄道とバスのコンサル2社がタッグです。日本鉄道マーケティング(東京都武蔵野市)と高速バスマーケティング研究所(神奈川県横浜市)は2024年8月22日、共同で交通事業者に向け「公共交通マーケティング推進プログラム」の提供を開始すると発表。都内で記者会見も行いました。
日本鉄道マーケティングは、IT業界出身で若桜鉄道の公募社長などを務めた山田和昭さんが、高速バスマーケティング研究所は高速バス事業を軸にバス事業のコンサルティングを手掛ける成定竜一さんがそれぞれ代表です。
山田さんは主に赤字の地方交通を、成定さんはバス事業における黒字の収益事業の改善を主軸にしており、対極の立場にいる2人が、主に公共交通事業者を対象に「マーケティング人材」を育成するプログラムを提供します。単発の勉強会(1回40万円程度)や、年単位でのプログラム(年200万円程度)を提供するといいます。
日本の公共交通は、地域独占的な免許制度のなかで、人口が増えれば収益も増えていった歴史から、「誰からも不満を持たれないサービス」が求められ、いわば「マーケティングを禁じられていた業界」だと2人は指摘します。
そうした「待ちの姿勢」から脱し、市場ニーズを正しく把握し、戦略を立案し実行する能力が、交通事業者、自治体ともに必要だと訴えます。
「地域のための装置として働くのが交通ですが、地域も消えかけています。そこに作戦はなく、ただ“維持”させるだけ」の状態であると山田さん。当然ながら「赤字を減らせ」となり、コストダウンでサービスや待遇が悪化、人手不足に陥っているといいます。
さらに、鉄道は赤字でも、地域は鉄道があることで、通勤通学の利便性、観光、商工振興、人口増加など様々な便益を享受していると指摘。そうした“外部性”は「鉄道事業者の外に、鉄道が頑張った効果が落ちてくる」といいます。その外部性に地域が気づき、地域全体で黒字になるにはどうするかを考える必要があると話します。
成定さんは、「特に危機感があるのは『大都市郊外』。これまでのように(鉄道もバスも)大手私鉄に任せればいい、というのが無理になってきている。それに自治体に気づいているか」と指摘。自治体が市民にどう情報発信していくか、その伝え方も考えていきたいとしました。
【了】
コメント