F-16に“ロシア機の“塗装なぜ? 運用は民間企業 それが軍にとっても効率的なワケ
民間企業が戦闘機を持っている理由は?
トップ・エイセス社のような民間企業で戦闘機を運用する会社は他にも存在しており、日本でもホーカー「ハンター」を運用するATACS社や、この業種では新興企業であるドラケン・インターナショナルなどが、在日米軍基地などにたびたび展開していで活動しています。
これら民間企業の戦闘機は訓練目的に特化しており、軍が運用する戦闘機よりも安いコストで飛ばすことが可能なため、軍にとっては訓練費用の節約や、限られた数のパイロットや機体リソースを有効活用することが可能、というメリットがあります。
アメリカ空軍や航空自衛隊では、訓練で敵役を務める部隊を「アグレッサー」部隊と呼んでいることから、トップ・エイセス社のような業種の企業は民間アグレッサー会社などと呼ばれます。
従来、民間アグレッサー会社の機体はホーカー「ハンター」やA-4「スカイホーク」といった古い機体が主流でしたが、近年はロシアや中国などの脅威が増大したことで訓練内容も高度化し、より高性能な機体が要求されるようになりました。それを受け、トップ・エイセス社も、イスラエルが退役後に保管していたF-16Aを2021年に29機購入。それらを再整備・改良して2022年より飛行させています。
今回発表されたフランカー風塗装のF-16が登場したのも、空軍が想定する軍事的脅威レベルが高くなり、訓練内容もより精鋭化していることの現れともいえるかもしれません。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
ロシア機というより、一瞬日本のF-2に見えた