東京下町の隠れ名物?「ゴツい鉄橋」なぜ多い 100年前の「教訓」と「至上命題」から生まれた納得の理由とは

東京都江東区を流れる川には、「トラス橋」や「下路アーチ橋」が多く架けられています。このような無骨な鉄橋が造られたのはいずれも100年ほど昔ですが、ゴツい鉄橋が採用されたのには、複雑な経緯と納得の理由がありました。

震災復興橋梁が江東に集中した理由

 江東地区に震災復興橋梁が集中したのには理由があります。

 この地域は、江戸時代から木材集積地の「木場」が控え、筏(いかだ)の運搬が盛んでした。同じく一帯は工場進出が盛んで、原材料や製品の輸送に水運を主力にしていました。このため江東地区には、河川・運河が縦横無尽に張り巡らされていました。

 必然的に橋も多数架けられていましたが、ほとんどが木製だったため、大半が震災で焼失してしまい、新な橋の構築が必要不可欠だったのです。

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桁橋の築島橋(深川孝行撮影)。

 ただし不思議にも、他の地域よりもトラス橋が圧倒的に多いのです。

 江東地区内の約200橋のうち最多は「桁橋」で、全体の実に9割を占めますが、次に多いのがトラス橋の26橋です。トラス橋の数は東京市全体で27橋なので、ほぼ全てが江東地区といっても良いでしょう。

 確たる理由は不明ですが、前述の水運が関係しているようです。

 震災復興であるため、スピードと建設費圧縮が重要で、そう考えれば、通常は手間・ヒマ・コストで有利な桁橋を採用するのが自然です。しかし、例えば川幅が20m超にもなると、当時の技術力では桁を構成する鉄骨の厚さをかなり太くしなければ、桁が曲がる危険性がありました。

 一方、江東地区は低地地帯で、川面から地面までは数mしかありません。ちなみに第二次大戦後は地下水組み上げがたたり、現在は「海抜ゼロ・メートル地帯」が広がります。

 つまり分厚い桁橋では、桁下高(川面から桁までの高さ)が狭くなり、船が通れなくなる恐れが生じます。また、川の中央に橋脚を設け、桁橋を架けたとしても、今度は橋脚が船舶の航行の邪魔になります。

 この結果、スパン(橋桁の長さ)を大きく取れる「トラス橋」と「アーチ橋」が現実的な選択肢となりますが、後者のうち「上路アーチ橋」も同様に、桁の下に分厚いアーチ構造部分を施すのでNGです。

 残りは「アーチ橋」「下路アーチ橋」の2方式に絞られます。どちらも荷重を支える構造物を橋桁より上部に配置でき、また橋桁も薄くできるため、船舶の航行にも都合が良いようです。

【写真】浮世絵に描かれた「萬年橋」今は流麗な鉄橋に

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