現用船ボロボロで海上保安庁が熱望! ヘリ搭載OKな「砕氷巡視船」ようやく進水 就役はいつ?
船齢もうすぐ50年 早く新型に入れ替えなきゃ!
置き換え予定の現用「そうや」は、今から50年ほど前に日本鋼管鶴見造船所(現JMU横浜事業所鶴見工場)で建造され、1978年11月に竣工しています。EEZ(排他的経済水域)200海里時代に備えた新海洋秩序対応体制の整備の一環として計画されたPLH(ヘリコプター搭載巡視船)の1番船で、冬季オホーツク海などの海氷海域における事案対応を考慮した砕氷能力を持っています。
しかし「そうや」の船齢は40年を超え、2010年度に実施した延命工事からも12年以上が経過していることから、経年による老朽化が著しく進行し、船内各所で故障・不具合が多発していました。
特に海氷海域を航行中に深刻な故障が発生した場合、業務遂行が困難になるだけでなく、極寒の海氷海域に閉じ込められ、乗組員等の生命の危険に直結する事態となることから、新たに砕氷能力を持つPLH型巡視船を整備する必要がありました。
オホーツク海を覆う海氷は、船舶の航行や漁船の操業を阻む障害です。海上保安庁では、こうした北海道周辺海域での安全を守るため、海氷観測を実施し船舶に提供していますが、漁船が海氷に閉じ込められて身動きが取れなくなり、救助に向かうという事例も起きています。
能力を向上させた新たな「そうや」が、航路の安全確保と領海警備を担う「北の守護神」として、万一の際は活動することになります。より高性能な砕氷巡視船の就役、今から期待できるでしょう。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
コメント