「やっぱ製造やめません!」で話題の“日の丸飛行艇”今後どう動く? 海外に売る気ある? 気づけば“ライバル”続々

US-2、海外で売れるの?

 まず、スイスやインドで構想されている機体については、ユニークな構想でもあり関心を持って見ているとのことでした。US-2自体は海自のみが使っているので世界的な知名度は低く、また飛行艇の使用法も海外の軍民それぞれで異なり、関心に温度差もあるため、US-2の輸出は容易ではないとのことでした。

 ただし、輸出への取り組み自体が決して断念されたわけではなく、展示ブースでは、「人員輸送としてのクオリティーをUS-2は持っている」との声も合わせて、今後も輸出への展開を進めていきたいとの声が聞かれました。

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ロシアの飛行艇「Be-200」(清水次郎撮影)。

 US-2は救難ヘリコプターより長い航続距離と高速性をもちます。たとえば海上遭難者の救出や救急患者の輸送などで、重要な役割を今後も果たしていくはずです。反面、生産数も少なく製造費は高止まりになるという課題も残っています。

 こうしたなか、海外で飛行艇の開発が絶えないことを合わせると、US-2輸出の芽は完全に摘まれたわけではないのかもしれません。

 US-2は8月に初号機が除籍になり、概算要求が出る前は、生産の打ち切りや、無人機をはじめとする新型飛行艇の開発に移ると見られていました。今回の概算要求で生産継続となったものの、ポストUS-2の開発を始める時期も、そう先ではない未来に訪れるでしょう。日本発の飛行艇の将来を、海外の動向と輸出の機会もにらみながら今一度考えていかなければならないのかもしれません。

【了】

【次世代は無人機に?】これが、新明和工業で開発中の「XU-M」飛行艇です(写真)

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Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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