屈指の「ロングノーズ新幹線」500系のスゴさとは?尖っているのは鼻だけじゃない!カリスマ的人気を誇る異端車の経歴を振り返る

新幹線の500系電車が、2027年をめどに引退する予定です。日本初の300km/h営業運転を実現させ、「のぞみ」として活躍した一方で、現在は一味違ったユニークな運用もされています。その振れ幅の大きい「とがった」個性を振り返ります。

日本初の300km/h運転を実現

 2024年7月、山陽新幹線「こだま」で活躍する500系電車が2027年をめどに引退するとの発表がありました。500系は元々16両編成で「のぞみ」向けに誕生し、日本初の300km/h営業運転を実現させた立て役者でもあるのです。

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500系電車(画像:写真AC)。

 500系の誕生以前、山陽新幹線は航空機にシェアを奪われており、高速化が必須でした。しかし、騒音問題という大きな壁をはじめ、乗り心地など様々な課題が立ちはだかっていました。

 これらをクリアするため、JR西日本は高速試験車両の「WIN350」を開発し、試験を積み重ねました。そして山陽新幹線での300km/h運転にめどが立ったことから、500系が設計・開発されたのです。

 500系には、東海道・山陽新幹線のほかの車両にはない、独自の特徴が多く見られました。興味深いものをいくつか挙げてみます。

・「ロングノーズ」と呼ばれる先頭部
 車両の先頭部、いわゆる「鼻」の長さは15mにもおよび、当時の「のぞみ」に充当されていた300系の約2.5倍にもなります。このロングノーズは、高速でトンネルに突入した際、押し出される空気で発生する大きな音、いわゆる「トンネルドン」の対策によるもので、カワセミにヒントを得ています。

・先頭部の一部座席に荷物置き
 ロングノーズにより先頭車の客室内天井高さが一部低くなり、荷物棚が狭くなることから中央のC席部分に荷物置きを設置しました。

・円形断面の車体
 丸い車体形状は航空機を連想させ、客室窓も曲面ガラスが採用されています。

・パンタグラフはフクロウがヒント
 500系に搭載されたT形パンタグラフは、側面にギザギザ状の突起を設けることで騒音を低減しています。これはフクロウの羽にヒントを得たものです。

・300km/h走行時に案内表示
 デッキ部とのドア上にある案内表示器に、「ただいまの速度は300km/hです」の表示が日本語・英語で流れました。

・ギネスに認定
 山陽新幹線での表定速度242.5km/h、広島~小倉間の平均速度261.8km/hは、当時の世界最速でギネスに認定されました。

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