50ccの「戦車っぽい何か」!? ホンダが市場ガン無視で発売した「伝説のレジャーバイク」とは? 21世紀にも化けて出た!?

50ccでそんな需要あったのか?

 ただし、この当時、ミニバイクで悪路や坂道を進み、大量の荷物を運ぶ実用ニーズがどれだけあったかは計り知れず、モトラ登場と入れ替わる格好で姿を消したダックスほどのヒットには至りませんでした。

 それでも、ホンダらしい遊び心や徹底したこだわりに、レジャーバイクファンからの一定の支持を得て、販売期間は5年となりました。

 短命だったわけではないため、生産終了後も中古の個体が比較的多く見られた一方、この独創性から高値傾向なのもモトラの特徴です。販売終了から37年が経過した今なお「伝説のレジャーバイク」として多くのファンを持つモデルでもあります。

「あれモトラじゃん」ファンをもやもやさせた“再来”モデルも

 また、2004年にホンダは“どことなくモトラっぽい”250ccスクーター、PS250を発売。「ラフ」「タフ」「ブコツ」がコンセプトで、モトラのそれとそっくりです。カラーのラインナップもモトラとよく似ていることから、「モトラのリメイク」の印象が強くありました。

 しかし、ホンダは正式にこれを謳っておらず「新感覚の250ccスクーター」とリリースしていました。

 モトラのイメージが伏せられたPS250の登場に、少しモヤモヤする感じもありましたが、筆者個人的な印象では、従来のモトラファンの間でもPS250はおおむね好評を受けていた様子。「モトラとPS250双方を所有し楽しむ」ユーザーも少なからずいたようです。

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PS250。どう見てもモトラにインスパイアされている(画像:ホンダ)。

 見た目もコンセプトも実用性も、とにかく独創的だったモトラですが、近年ホンダが125ccモデルで往年のレジャーバイクを続々と復活させ、ヒットに繋いでいる状況を思えば、このモトラもまた「公式なリメイクバイク」として復活して欲しいものです。特にキャンプなどのアウトドアレジャーが根強い人気を誇る今なら、モトラの実用性の高さはさらに評価を受けることでしょう。

 仮に125ccモデルで登場した場合、おそらく同排気量のバイクよりも巨大になりそうにも思いますが、それもまた面白そうです。オリジナルのモトラの登場時「市場に全く合わせない」ように感じさせたインパクト同様、いつの日かセンセーショナルな復活を遂げてほしいと思う1台です。

【了】

【ナニコレ!?】無骨すぎる伝説のバイク「モトラ」(写真で見る)

Writer: 松田義人(ライター・編集者)

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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