「3大車種」は盗まれますよ! 自動車盗が深刻増加の「愛知県」警戒レベルMAXに 安全地帯なしの中、あの手この手の対策とは?

「メーカーの防犯対策は破られる」10万円の懸賞金も

 駐車場所を問わず、被害は広がっています。住宅の駐車場、月ぎめ駐車場、コインパーキング――ここなら安全という場所はない、といえるほどです。

 防止には「セキュリティのアップグレードに加えて警報器などの追加で複数の防犯対策をしましょう」と、県警は注意喚起の中で訴えています。盗難防止対策の考え方を愛知県自動車盗難防止協議会の事務局・井口靖菜氏が話します。

「メーカーのセキュリティ解除の方法は研究しつくされている。どのクルマにも共通する盗難防止装置だけでは防ぎきれないと考えたほうがいい」

 窃盗集団の目的は、捕まらないように効率よく車両を盗むことです。

「犯行に時間がかかることを、車外から見てわかるようにアピールする独自の対策を使うことです。例えば、ハンドルロックや車外品のイモビライザーなどを複数使って、解除に時間を要するとアピールすることです」(前同)

 官民で盗難防止を考える「愛知県自動車盗難防止協議会」は、警察のほか自動車販売会社、保険会社などで構成されます。会長は名古屋トヨペットの小林 剛社長です。協議会では2023年10月から、名古屋市内の一部の時間貸し駐車場でハンドルロックを無料で貸し出す取り組みを始めました。ハンドルロックの施錠体験から、自主防犯対策を促すことを目的としています。

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愛知県警(中島みなみ撮影)。

 また、愛知県の協議会では独自に「窃盗情報報奨金制度」を設けて、自動車車両盗難の情報提供者に10万円の報奨金を支払うことを続けています。

 2022年3月までは車両情報提供の報奨金は1万円でした。これでは効果が見込めないと引き上げました。それでも、この制度は犯人の検挙に結び付いた場合なので、目覚ましい実績を上げるまでには至っていません。車両以外の部品の情報提供は1万円です。

 盗難被害に対する関心を高める努力も続けています。2023年の名古屋モビリティショーで、協議会は県警とともにブースを出展し、容疑者の運転する被害車両が交通事故を起こした実車の展示を行いました。車両用品店でも同様の展示を行い、見学者に被害の臨場感を伝えています。

【了】

【こうやって盗まれました】実際の「盗難車」(写真)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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