県都の玄関駅がついに“脱・国鉄” 高架化の松山駅どう変わった? でも待望の西口はガラン
ホームの珍風景も健在!? 高架化したばかりの松山駅
一方、今回の新駅完成ともに新たに開設されたのが「西口」ですが、こちらはまだ完成していません。
ここは車両基地である松山運転所の跡地です。車両基地で東西が分断されていた分、駅利用の期待度が高まったのは確かですが、現状で駅前は空き地が目立ちます。あるはずのロータリーは“仮”の状態で、西口を発着する路線バスやタクシーの常駐もなく、一般の駐車場もコインパーキングが1か所のみという状況です。
松山駅の高架化は、国が新規着工準備を採択したのが2004年で、本格的な着工は2010年のことでした。駅西側に隣接していた車両基地・松山運転所の移転を2020年に完了させ、2024年にようやく高架駅の開業となりました。
実は当初の計画では、愛媛国体に合わせて2017年度の開業が目指されていましたが、松山運転所の移転先で発見された遺跡の発掘調査や、2023年に高架橋梁で設計ミスが発覚するなどのアクシデントにも見舞われ、地元は待ちに待ったという印象です。
県と市が進める周辺整備はかなり遅れており、西口駅前広場の完成は2年後、2026年度の予定。東口では、新駅と実質離れてしまった伊予鉄軌道線の「JR松山駅前」電停とバスターミナルの整備が進められますが、今年度中に旧駅舎が撤去された後となるため、完成は2027年以降の予定です。もと県民の筆者には、駅の行方にまだまだ目が離せません。
【了】
Writer: 坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)
1974年生まれ、香川県在住。いつでもどこでもスーツで撮影に挑む異色の鉄道カメラマン・ロケコーディーネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動をする傍ら、予土線利用促進対策協議会のアドバイザーやテレビ・ラジオにも多数出演するなど、鉄道をワイフワークに活動している。著書に「鉄道珍百景」「もっと鉄道珍百景」「駅スタンプの世界」「100万キロを走ったセドリック」(いずれも天夢人刊)がある。
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