「使われていないホーム」か何か? 地下鉄の渋谷駅に“ナゾ”空間 実は究極のエコだった!?
東急東横線の渋谷駅3番ホーム向かいには、柱が並ぶ謎の空間が広がっています。乗り場がもう一つ作れそうな空間、何の目的があるのでしょうか。
柱の奥に広がる「謎のスペース」
東急東横線と東京メトロ副都心線が発着する渋谷駅地下ホーム。横浜方面の列車が発車する3番線の先端付近に、不思議な光景が見られます。
ここは駅のなかでも東の端。ですが、ホームから線路を挟んで反対側に、コンクリートの壁ではなく、奥へ薄暗い空間が広がっているのです。のりば1本分はありそうな奥行きですが、ホームが設置されているわけではありません。これは一体何の空間なのでしょうか。
この空間、地下5階のホームから天井を突き抜け、地下3階のコンコースにまで達し、そのまま吹き抜けとして地上へつながっています。
結論から言うと、これは巨大な「自然換気」の装置です。地下5階という深い位置にホームがあるなか、電車や照明の排熱、人の熱気などを、なるべく空調に頼らず対処できる機構となっているのです。
全体設計は建築家の安藤忠雄氏。地下駅構内の中心部にタマゴ形の大きな吹き抜けを設け、コンコースから行き交う電車が覗き込めるようになっており、「使う人の心の中に残る駅」(安藤氏)となるデザインにしたといいます。この吹き抜けを含むタマゴ形の構造は宇宙船ならぬ「地宙船」と名付けられています。
さて、このタマゴ形の吹き抜けも、先述の自然換気の”ダクト”の役割を果たしています。暖かい空気が上昇する性質を利用し、コンコース中央のこの吹き抜けが「排気」を担っています。その逆の「吸気」を担うのが、3番線ホーム脇の「謎の空間」だったのです。3番線ホームに立つと、この空間からこちらへ空気が流れてくるのをかすかに感じることができます。
東急によると、この自然換気にくわえ、冷水を流すことによる"放射冷房"も行うことで、CO2(二酸化炭素)排出量を年間1000トン削減できるとしています。
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