なぜ北朝鮮はミサイル実験するのでしょうか? 多額の費用かけて開発する意味とは 国が滅ぶかもしれないのに

2024年10月31日に北朝鮮が「ICBM級と考えられる」ミサイルを発射しました。このミサイルは日本では大陸間弾道弾ミサイルとも呼ばれ、核戦争を起こす可能性のある兵器のひとつともされています。

どこかが撃った時点で世界終わるかも!?

 ICBMを発射された場合、迎撃は非常に困難です。アメリカ空軍に現在配備されているICBMであるLGM-30「ミニットマンIII」を例にすると、弾頭は 2万4100km/h(約マッハ23)というとんでもない速度で飛んできます。

 さらに弾頭は1個ではなく多弾頭化されているため、「ミニットマンIII」は3個の弾頭を運搬・放出します。しかも弾頭は水爆のため、その破壊力は広島や長崎で投下された原子爆弾よりも遥かに強力です。実はこれでも冷戦終結後に威力を抑えられており、過剰な核戦力であるとして2005年に退役させたLGM-118A「ピースキーパー」は弾頭を10個も搭載していました。

 

 アメリカ空軍はICBMを約450発保有していると言われており、これらのミサイルが一斉にミサイルサイロから撃たれた場合、全て撃ち落とすことは不可能です。

 また、ロシアや中国はTEL(Transporter Erector Launcher)と呼ばれる移動式発射台から射出可能なICBMを多数所有しています。このような車両運搬型のICBMだと、仮に核戦争が起き、発射する前にミサイルサイロが破壊されたとしても、TELが生き残っていれば潜水艦から発射するSLBMと同様に、思いもよらない場所からミサイルを発射して報復反撃できます。

 こうした強力なICBMの発射を阻止するのに現状で最も効果的といわれているのは、同じ性能の核ミサイルを持つことです。これは「強大な核の力で脅威を与え、他国に攻撃を思いとどまらせる」ということで核抑止論と言われています。しかし、ひとたび核保有国に核ミサイルを発射してしまうと、報復にミサイル攻撃を行った国にも同じようなミサイルが飛んでくることになります。

 これがアメリカとロシアというミサイルの保有数が多く、かつ戦力が均衡している国同士であれば、最悪は人類滅亡、軽微で済んだとしても交戦国双方の復旧が困難なほどの損害を受けることになるということで、互いに抑止力が働きます。

 これを「相互確証破壊」と呼びますが、北朝鮮がICBMを所有しようと開発を続けるのは、アメリカに対して、この「睨み」を利かせたい、そして外交カードのひとつとしてちらつかせたいからだと言えるでしょう。

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発射実験中の「ミニットマンIII」(画像:アメリカ空軍)。

 こうしたことを鑑みると、日本周辺に限っただけでもロシア、中国、北朝鮮の3か国がICBMを持っていることになります。そう考えると、我が国の安全保障環境はかなり緊迫していることがうかがえます。

【了】

【え、こうやって入れるの?】ミサイルサイロにICBMを装填する様子(写真)

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