日英伊の「次期戦闘機」実はかなり“追い込まれている?” 切迫するカネと時間の問題 余裕は全然無い!?
もっと切迫する「エンジン開発」
当たり前と言えば当たり前の話なのですが、航空機に搭載するジェットエンジンは、試作機が完成するより先に地上での運転試験や、実際に飛行中の航空機に搭載する運転試験などを完了し、性能や安全性などを確認しておかなければなりません。
ユーロファイター・タイフーンの試作機が初飛行したのは1994年3月27日でしたが、搭載するユーロジェットEJ200ターボファン・エンジンは試作機初飛行の3年前、1991年に初の運転試験を行っています。
GCAPのエンジンの開発は日本からIHI、イギリスからロールス・ロイス、イタリアからアヴィオ・エアロが参加して行われますが、アヴィオ・エアロの役割は補助的・副次的なもので、実際の開発作業はIHIとロールス・ロイスが主導します。
現在IHIとロールス・ロイスのスタッフは月に一度くらいのペースで日本とイギリスを行き来して、詳細設計など開発に向けた作業を進めていると筆者は聞き及んでいます。GCAPの試作機がいつ頃初飛行するのかは明らかにされていませんが、冒頭で述べたように航空自衛隊は2035年の就役を望んでいるので、遅くとも数年前にはエンジン開発と試作機の飛行試験を完了している必要があります。
エンジンについても「まだ11年ある」ではなく、「もう11年しかない」という、時間との戦いを要求されることになると思われます。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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