戦闘機っぽい何か? ナゾの自衛隊「日の丸無人機」あえて航空宇宙展に出てきたワケ
あえて展示したその意味を空自に直撃
航空自衛隊のブース担当者は「無人機研究システム」を展示した理由を次のように説明してくれました。
「トレンドとして無人機というものが注目されており、我々にとっても人材不足などを考えると重要な要素といえます。グローバルホークのような海外製の無人機の運用も開始されていますが、国内でも昔から無人機の技術と知見を獲得するために研究を続けてきたということを、歴史とともに振り返る意味でこの機体を展示しました」
この「無人機研究システム」は実用機として装備化されることはなく、航空自衛隊も現在はアメリカのノースロップ・グラマン社が開発した大型の無人偵察機RQ-4「グローバルホーク」を導入・運用しています。一見すると、この機体の開発と試験は無駄なようにも思えますが、もともとこのプロジェクトが「量産を前提としない研究開発」として始まったそうで、その研究から得るモノは多かったとのこと。
「我々は2004年頃から行っており、無人機の技術の重要性を認識していました。この機体では無人機の自律飛行や、搭載したカメラの映像を伝送する通信技術などの研究を行いましたが、我々も無人機に対する知見を得て、それをどのように使っていくかの運用構想的なものを学ぶことができました」(担当者)。
本機の開発が始まった頃は、無人機はまだ標的機や偵察機など補助的な任務でのみ使われおり、ドローンというフレーズも一般的な名称ではありませんでした。
そのため前出の「無人機研究システム」は、ある意味「無人機の走り」という存在でした。そのことを鑑みると、航空自衛隊や国内のドローン産業からみても歴史的に重要な機種だったといえるでしょう。
RQ-4「グローバルホーク」やMQ-9B「シーガーディアン」など、防衛省・自衛隊をはじめとして海上保安庁などで運用されている中・大型の無人偵察機はのきなみ外国製ですが、日本のドローン史を後世に伝える存在として、無人機研究システムは国際航空宇宙展に展示されたようです。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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