トヨタ随一の“珍車”!? 頭トラック・胴体ハイエースな「ダイナルートバン」は一体“何用車”なのか?

「ハイエースじゃちょっと足りない」からだよ!!

 一般的な「ハイエース」の最大積載量は約1トン前後。これだけでも十分のようにも感じますが、状況によってはこれ以上の重さのものを運ぶ場合もあります。そうなると「ハイエース」ではこと足らず、運搬回数を増やすなどの対応を強いられます。

 そういったニーズに呼応し、特にシャシーや足回りが堅牢な「ダイナ」をベースにして開発されたのが「ダイナルートバン」です。最大積載量約1.2トンから2トンのタイプがあり、特に2トン系は「ハイエース」よりもはるかに重い積載を実現させるとあり、一定の支持がありました。

 また、荷台むき出しのトラックと違い「ハイエース」のリアを合体させ架装したことで、“できるだけ人の目に触れさせない大切なもの”を運ぶニーズにも適しており、現金輸送車、消防車、警察関係車両にも多く採用された超実用派モデルでもありました。

 しかし、この「ダイナルートバン」のうち最大積載量2トン系モデルは2021年に生産終了。現在は1.2~1.25モデルのみとなっています。廃止となった理由は、「ダイナ」に搭載されていた小型エンジンが日野自動車によるOEM生産で、同社の認定不正問題を受け、「ダイナルートバン」も出荷停止の事態となり、結果的に2トン系モデルの生産終了に至ったというわけです。

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ルートバンのベースとなっているトヨタ「ダイナ」(画像:トヨタ)。

 現状では1.2~1.25モデルが新車販売されていますが、こうなると「ハイエース」の最大積載量とそう変わらず「ダイナルートバン」の必要性が少し薄まりつつあるようにも感じます。

 しかし、この独特のルックスと「ハイエース」以上の堅牢性を実現する「ダイナルートバン」。筆者個人的には、この「頭デッカチのちょっと変なルックス」がたまらなく惹かれるところで、このまま姿を消さないことを密かに祈っています。

【了】

【ホントに“合体”!?】これがトヨタ希代の珍車「ダイナルートバン」です(写真)

Writer: 松田義人(ライター・編集者)

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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