「乗り通す人いるの?」200キロ超の長距離“普通列車”が今なお消えない理由 昔は“とんでもなく長い”列車も

青春18きっぷで挑戦したくなるような長距離の普通列車は、数を減らしながらも脈々と生き続けています。200kmを超えるようなロングランを行う意義は何でしょうか。実はSLの時代から“栄枯盛衰”がありました。

昔と役目は全く違う! 現代の長距離普通列車

 消え去るかと思った長距離普通列車ですが、大都市圏で拡大してきます。その先駆けは、JR西日本の新快速です。

 1989年、京都・大阪・神戸の大都会と近隣の中核都市を高速で結ぶことで、都市間移動需要を拡大させる「アーバンネットワーク」戦略が打ち出され、直通運転の拡大や、新快速への新型車両投入、スピードアップが進められました。

 これは大成功し、長距離通勤客も増え、郊外都市の開発も進みます。2006年には滋賀県と福井県が整備費用を負担した新快速の敦賀直通も始まり、滋賀県の人口を増やす要因ともなりました。

 首都圏では超高密度の運行を安定させるため、系統路線の分離が定着していましたが、1996年の中央線を皮切りに「東京圏輸送管理システム (ATOS)」が導入され、東京から100km圏内の24線区・連動駅約205駅に広がり、各系統路線ごとだった運行管理が一元化されていきます。

 こうして複数系統間を直通する列車の運行管理がしやすくなり、2001年に東北本線・高崎線と東海道本線・横須賀線を直通する「湘南新宿ライン」、2015年には東北本線・高崎線・常磐線と東海道本線を直通する「上野東京ライン」の運行が始まりました。

 この目的の一つは、雁行する輸送需要の取り込みと思われます。東京駅や新宿駅などの「点」だけでなく、首都圏内には旺盛な移動需要が面的に広がっています。東京や上野で折り返して分断させずに列車を直通させると、この首都圏内の多様な移動、郊外から首都圏各地への移動など、様々な移動需要を重ね合わせ拡大を促進することができます。

 不動産開発も見逃せません。郊外から都心へ広く直通できることから、上野東京ラインでは沿線価値の向上が謳われました。また、東北本線・高崎線・東海道本線の車両を共通運用することで効率化し、品川など都心にある車両基地の郊外移転と再開発を可能としました。

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新快速の敦賀直通は、長浜―敦賀間などを交流電化から直流電化に切り替えることで実現した。敦賀駅(画像:PIXTA)。

 こうして大都市を貫通する長距離普通列車が進化していきましたが、近年はコロナにより、中央線快速の深夜が運休となり、旺盛だった夜間利用が減りました。また、新快速は野洲以東が日中1時間1本に減便されました。労働人口の減少が進み、さらに長距離普通列車の運行に影が落ちるかもしれません。

 一方で、富士山回遊を狙い2024年には中央線で東京発大月行きの快速が増発されています。時代や環境の変化・技術の進化により、長距離普通列車は形を変えて生き続けています。

【了】

【おい信じられるか?】これが「かつての日本最長距離列車」の運行区間だ(地図/画像)

Writer:

1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。

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コメント

17件のコメント

  1. 旧国鉄の最長距離普通列車ではなかったかと考えられるのは,東京駅を14時台後半に発車する門司行(とその上り列車)でしょう。高校2年から3年になる春休みの修学旅行で利用しました。東京駅で既に満員,後から乗ってきた中年女性が床に新聞紙を敷いて座り込み,われわれが京都で下車すると知って,「良かった,広島まで行くので京都から座れる」と。旅慣れた方のようでした。昭和28年のことです。

  2. 今はなくなりましたが

    岡山初下関行きがありましたが

  3. かつて存在した最長距離普通列車は、戦時中の急行列車廃止で同じ区間を走った鹿児島発東京行きでしょう。所要時間は40時間越え、二晩夜行でした。

  4. かつて戦時中に急行列車を格下げした普通列車鹿児島発東京行きが1500キロ余りを40時間以上かけて走っていたそうです。

    ブルトレの特急はやぶさ号や、急行桜島号とほぼ同じ区間を各駅停車で走っていたというと気が遠くなる話ですね、

  5. 中央東線や飯田線は距離の長い列車が多いですね。

    中でも高尾発長野行だった頃の441M。東京都内から長野駅まで一本の普通列車で行けた。残念ながら、今は大月発に短縮。それでも、長いことは変わらない。

    飯田線は豊橋~上諏訪の直通が最長か。全て乗り通す人は余程の物好き以外いないだろう。

    • 現在(2025年時点)、逆方向で(長野→高尾)、

      朝6:54発快速松本行がそのまま行先を変えるだけで

      実質的に高尾まで直通しています!

  6. 1969年に乗車した上野発青森行(東北本線、奥羽本線経由)421列車で23時間17分かかりました。

  7. 私が中学生だった1970年代は、家の前を通る奥羽本線に青森と上野を直通する普通列車が存在していました。

    距離は700km以上、所要時間も23時間くらいだったと記憶しています。

  8. 現代の普通列車は、特に電化区間であれば車ではできない速度で走行しており、速度だけ見れば車よりも速く移動できる。

    にも関わらず人々が車を使うのは、運転時刻による制約があって時刻を気にせずに移動ができる利便性が優からである。

    鉄道が復権をするためには、この点が時刻による制約を解消しなければならないため、社会が豊かになると車に移動手段が移るのは致し方なく、車の運転ができない人(運転できる人も歳を取ればできなくなることも含まれる)のために本来なら車社会で鉄道を維持するための経済的な優遇措置がなければ存在し得ないのである。

    我が国の場合、そうした仕組みがないから鉄道が衰退する一方なのかもしれない。

  9. 流石!長く生きてられると経験できるものですね

  10. ターミナル貫通の意義は、折り返しにかかる手前(乗り換え混雑、車内整備、乗務員の移動、本数の多い区間での交差支障)の軽減など、他にもたくさんあります。

    それは何だったら、直通需要の喚起よりも重要。折り返したくなさからテキトーな通り抜け先につながっている例も。

    東京なら、古くは京浜東北線や中央・総武緩行線。

    丸ノ内線なぞ端から乗り通しを想定していないような線形だし。

    山手線は折り返しを完全に排除した例。

    なお、湘南新宿ライン・上野東京ラインは、都心側の車両留置スペースの集約(田町の縮小)、空いたスペースの活用という意義もあります。

  11. かつては、上野発奥羽本線経由青森行きなんて、超長距離鈍行がありましたよー。

    乗り通した事は有りませんが。

  12. 青春切符 絶やさないでくださいね

    75歳 列車で青春 楽しんでます

  13. 乗務員も途中で降りるから

  14. 乗り通す人がいるから運行されてると、本当に思ってるの?

  15. トドのつまり。2026年の現行、日本全国で最長距離を走る普通列車は何処から何処までを走るのですか?(時間帯も!)

  16. 名古屋で飲んでいた友人が、眠っちゃって、起きたら浜松だったかもっと先立ったか。線路はつづくよどこまでも。電車で揺られて眠るのって気持ちいいんだよねえ。

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