木造の自衛艦が炎上・沈没!?「なぜ鉄で造らないんですか?」鋼製船体じゃ逆に危ないワケ
海上自衛隊の掃海艇「うくしま」が2024年11月10日に出火し、翌11日未明に沈没しました。同艇は自衛艦としては珍しく木造だったとのこと。なぜ今の時代に燃えやすい木を使うのでしょうか。あえて鉄を使わない理由がありました。
木造なのは、その任務の特性ゆえ
掃海艇は、「海の地雷」とも形容される機雷を除去したり、処分したりするのが主目的の船です。機雷の起爆方法はいくつかありますが、なかには磁力に反応するというのも含まれます。
鋼製船体の場合、自然と磁気を帯びるため、それが機雷を爆破させる危険性を有します。そこで、掃海艇は安全のために鉄ではなく磁気が発生しない木で造られるのです。
ただ、木造船は前述したように耐用年数の面ではどうしても劣ります。また、木造はどんなに防水処理を施しても年を経ると水を吸い、重くなるとともに劣化していきます。重くなるということは、そのぶん燃費も悪化するということで、機関や燃料搭載量が変わらなければ最高速度や航続距離は低下します。
ほかにも、1980年代以降、民間で木船の需要が減ったことで、木造艇(船)を造れる技術者が減り、ノウハウを継承するという観点からも問題視されるようになったといいます。
こうした時代の流れにより、海上自衛隊では2008年度計画艦の掃海艇「えのしま」(2012年3月21日竣工)以降、掃海艇および掃海艦はFRP(繊維強化プラスチック)構造となっています。
コメント