「世界から丸見えですよ」いや見せてる…? “超巨大カー”に乗せた北朝鮮のミサイル その真意

北朝鮮でTELの効果は発揮できるのか

 こうした経緯から、TELは「逃げ隠れできる」難敵とされてきました。しかし、現代では宇宙から商用人工衛星が精密な地上写真を撮りまくっており、しかも誰でも見ることができます。空中には各種ドローンも飛び交っています。

 やや古いのですが、2017(平成29)年にアメリカ・ジョージタウン大学のキール・リーバー教授と、米国務省顧問でダートマス大学のダリル・プレス教授が、北朝鮮のTELに対する攻撃が行われる状況を仮想して、アメリカや同盟国の情報収集能力を分析しました。

 それによると、合成開口レーダー衛星はTELが移動できる北朝鮮全土の道路を24分に1度撮像することができ、各種無人機と組み合わせれば97%の範囲において継続的な検知と識別が可能になると試算しています。この分析はあくまで机上の試算ですが、2024年現在では各種ドローンの急増に見られるように、リモートセンシング技術はさらに進歩しています。

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ドローンによる北朝鮮道路網の可視状況。黒の区間が見えない。〇の8か所にドローンを配置した想定(画像:リーパーとプレス「対抗力の新時代:技術変化と核抑止の未来」)。

 またTELも隠すのは簡単ではありません。今回発射された火星19型のTELは過去最大だった火星17型と同じものと見られ、ほかに例を見ない大型で11軸22輪の全長は推定28m以上とされています。ちなみに新幹線の中間車両の長さは25mです。北朝鮮は、道路舗装率は25%に過ぎないなどインフラも貧弱で、28mもの車台が活動できる範囲は極めて狭いはずです。

 しかも自動車産業が未発達の北朝鮮では、TELの車台は自国で開発できず輸入車であり、大型多軸トラックベースはミサイル関連器材ということで、国連安保理決議にて禁輸されています。

え、80年前に!? これが元祖「弾道ミサイル」です(写真)

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