「世界から丸見えですよ」いや見せてる…? “超巨大カー”に乗せた北朝鮮のミサイル その真意

北朝鮮は最新型のICBM「火星19型」を、移動式ミサイル発射機(TEL)に搭載しています。そもそもTELの利点は「逃げ隠れできる」ことでしたが、人工衛星やドローンで空撮される現代、巨大ミサイルをTELに搭載しメディアに露出させる意図は何でしょうか。

メッセージ性を持たせている?

 こうなれば密輸か既存品の流用で車台をこしらえるしかなく、思うように数は揃いません。北朝鮮ミサイル戦力の弱点のひとつといわれています。新幹線車両並みに大型化しても動ける範囲は狭く、数も少なければそれだけ脆弱ということです。

 TELは逃げ隠れして生存性を高めるのが本来の目的ですが、アメリカまで届くような「最終完結版の大陸間弾道ミサイル」を大きく鈍重なTELに載せて、かえって暴露しやすくするというのは本末転倒にも見えます。それどころか国営メディアが、もはや車両には見えず巨大なタイヤが並んだ映画セットのような12軸24輪という超大型TELを、金正恩総書記が視察する様子を報じてさえいます。

 北朝鮮は、技術レベルからミサイルや核弾頭を小型化できないのが泣き所でありますが、それを逆手に取るように、巨大TELを生存性向上ではなくミサイル戦力を誇示する外交宣伝のツールとして使っています。

 火星19型はアメリカ大統領選挙直前というタイミングで発射され、金正恩総書記は「核戦力を強化する路線を決して変えることはない」と宣言しました。アメリカ次期政権へのメッセージです。

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国防工業企業所を視察する金正恩総書記として配信された写真。24輪のTELとされるものが写っている(画像:朝鮮中央通信)。

 弾道ミサイルは心理的兵器といわれます。「TELで弾道ミサイルは逃げ隠れできるので、『スタンド・オフ防衛能力』は無意味」と思わせるのも認知戦の一環ともいえます。日本では「敵基地攻撃能力」が専守防衛にそぐわないという議論とともに、TELを捕捉して攻撃するのは実効性に乏しいとされてきましたが、状況は変化しています。

「敵基地攻撃能力」は専守防衛の枠組みと矛盾せず、捕捉し易くなったTELを攻撃できる「スタンド・オフ防衛能力」を持つことは無意味でありません。

【了】

え、80年前に!? これが元祖「弾道ミサイル」です(写真)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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