異形の「センチュリーロイヤル」!? 唯一無二の“Sワゴン型”なぜ存在?
じつは詳細が全く不明な現行型の寝台車
では、世界でも1台しかない「センチュリーロイヤル」の寝台車は、どのような特徴を持っているのでしょうか。
一番の特徴は、なんといっても車体形状がステーションワゴン型になっている点でしょう。これに伴い、トランクがなくなり後部扉が新設されています。ただ、宮内庁や製造元のトヨタは詳しいスペックを明らかにしていないため、実際にはどのような仕様になっているかは定かではありません。
パワートレインはセダン型と同じく、2代目「センチュリー」にも採用されている1GZ-FE型5リッターV型12気筒エンジンに6速ATが組み合わされたものと考えて間違いないでしょう。ただし、重量増加に伴い何かしらのセッティング変更が行われている可能性は考えられます。
「センチュリーロイヤル」セダン型のボディサイズは、全長6155mm、全幅2050mm、全高1780mm、ホイールベースは3090mmと公表されており、外観から判断する限り、寝台車も全長や全幅は同様と思われるものの、全高は200~300mmほど高いハイルーフ仕様になっていることがわかります。後部扉は跳ね上げ式のハッチゲートで、リアコンビランプは縦型のクリアカバータイプとなっているのが特徴です。
なお、寝台車の内装や寝台設備はメディアにすら公開されていないため、こちらも想像の域を脱しませんが、1980年にセダン型の日産「プリンスロイヤル」を改造して製造された寝台車の写真が製作当時に宮内庁から公開されており、おそらくはそれに準じた仕様になっていると思われます。
日産「プリンスロイヤル」寝台車は、一般の霊柩車と同じく座席は運転席と助手席のみの2座仕様となり、前席から後ろは寝台設備となっていました。寝台部分のこしらえは洋型霊柩車のそれに近く、内装には最高級のモケットが使用されているようですが、宮型霊柩車に使用例の多い「金華山張り」のような華美なものではありません。
皇族の葬儀のときにしか出番がない「センチュリーロイヤル」寝台車は、使用回数が少ないことに越したことはありません。しかし、同時に皇室の方々のためになくてはならない存在でもあります。
冒頭に記したように、三笠宮妃の百合子さまの「斂葬の儀」は26日に執り行われます。この日は、午前と午後の2回一般拝礼が認められています。万一タイミングが合えば、世界で1台しかない「センチュリーロイヤル」寝台車を見られるかもしれません。
【了】
※誤字を修正しました(11月24日8時50分)。
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか
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