「取り壊すな!」築105年の“木造駅舎”がそのまま残ったワケ 懐かしすぎる日本の鉄道風景 ←海外です
台湾には多くの日本統治時代の鉄道駅舎が残りますが、なかでも「日本の懐かしい鉄道風景そのまま」という小さな木造駅舎が存在。地域は日本人との縁が深く、廃駅・取り壊しの危機に住民たちが立ち上がったのでした。
駅の隣に「アジア最南端の日本語図書館」があるワケ
もう一つ竹田駅周辺には泣ける話があります。
竹田駅のすぐ隣には「池上一郎博士文庫」という小さな図書館もあります。ここは前述の鉄道運搬する農作物を一時保管するための倉庫だったのですが、後に図書館となりました。
戦時中の1943年、竹田エリアに軍医として赴任した日本人医師・池上一郎氏は、地元の人たちと積極的に交流を深め、一時伝染病のマラリアが蔓延すると、高額の治療薬を入手し地元の人たちに提供。お金をいっさい受け取らず、特に地元の人たちに手厚い医療サポートをしたことで敬愛された人物です。
池上氏の台湾愛は戦後、日本が台湾から撤退した後も変わることはなく、日本に台湾人留学生を招く支援活動をするなど、生涯を通して台湾を応援し続けました。そして生前に日本で集めた自身の蔵書約5000冊を竹田へ寄贈しました。
2001年1月16日、池上氏の誕生日に合わせて、ここ「池上一郎博士文庫」が設立されました。台湾への思いが、「図書館設立」という一つのカタチになったその数か月後、池上氏は他界しました。
この2つの話に目頭が熱くなるばかりですが、「池上一郎博士文庫」は事実上の「アジア最南端の日本語図書館」として知られ、竹田駅存続のエピソード、池上氏のエピソード双方によって台湾人・日本人双方の多くがここを訪れるようにもなりました。
ただでさえ貴重な105年前建設の竹田駅の旧駅舎ですが、こういった話を知った上で訪れれば、より一層、感動につながるのではないでしょうか。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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