自衛隊最大の「やっちまった」案件か? 効果的な対空兵器なぜ退役 ウクライナ戦争で脚光も“後の祭り”
安価ながら高い戦果を挙げるとして注目を集めるようになったドローン。これに対するコスパの良い防御手段として、再び対空機関砲にスポットがあたっていますが、なんと自衛隊はウクライナ戦争の勃発直前に全数退役させていました。
再び脚光を浴びるようになった対空機関砲
ウクライナとロシアの戦況は、日々刻々と変化し、世界の注目を集めています。そのなかで特に関心が高いのが、大小様々なドローンによる戦果でしょう。偵察、攻撃、そして自爆と、その用途は多岐にわたります。これら目まぐるしく進化するドローンに対し、ウクライナ・ロシアといった当事者だけではなく、世界各国とも必死に防御手段を模索している状況です。
そうしたなか、ウクライナの戦場で意外な復活を遂げているのが、対空機関砲です。特に、安価な小型ドローンに対しては、高価な地対空ミサイルを用いるのは費用対効果、すなわちコスパ(コストパフォーマンス)の面から割に合わないとされ、単純な機関砲の方が効果的と判断されるようになっています。
具体的には、携帯式地対空ミサイル(MANPADS)1発が数百万円から1000万円するのに対し、機関砲の一連射は数十発でもせいぜい数十万円程度であり、コスト的にはミサイルの約1割に抑えることができます。
こうした事情から対空機関砲の重要性が再認識されているのです。しかし残念なことに、日本においてはこの種の機関砲がウクライナで戦争が始まる直前に廃止されてしまいました。
廃止された対空機関砲の名は「VADS(Vulcan Air Defense System):バッズ」。これは、長らく航空自衛隊において、飛行場を敵の攻撃から守る「基地防空隊」に配備されていました。
VADSは、戦闘機に搭載される20mmバルカン砲を流用した地上発射型の短距離防空システムで、レーダーや光学照準器と連動させて目標に対して射撃します。発射速度は毎分4000発ないし6000発。1980年代の配備当時は、敵機による爆撃への対抗手段として位置づけられていました。
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