自衛隊最大の「やっちまった」案件か? 効果的な対空兵器なぜ退役 ウクライナ戦争で脚光も“後の祭り”

安価ながら高い戦果を挙げるとして注目を集めるようになったドローン。これに対するコスパの良い防御手段として、再び対空機関砲にスポットがあたっていますが、なんと自衛隊はウクライナ戦争の勃発直前に全数退役させていました。

あと1年、時期がズレていたなら…

 しかし時代は変わり、より射程の長い巡航ミサイルが台頭します。VADSはこのような新たな脅威に対してもある程度の対応能力を持っていました。しかし、より高度な射撃制御システムを搭載した最新の対空ミサイルシステムと比較すると、特に射程の面や、ネットワーク化されていないことなどにおいて見劣りするようになりました。

 また、限られた人的リソースを有効に使うには、性能的に劣るVADSに人を割り当てるよりも、地対空ミサイルを充実させたほうが防空能力は向上すると考えられました。結果として、航空自衛隊はVADSの運用を取りやめることを決定、2020年度末(2021年3月)に保有していた176セット全てを退役させたのです。

 ところがロシアによるウクライナ侵攻が始まると、巡航ミサイルよりもはるかに安い自爆型無人機が大量投入されるようになり、前述したように対空ミサイルだけではなく、安価な対空機関砲を併用することが効果的であると判明したことで、その価値が見直される事態となりました。

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ロシアがウクライナの首都キーウを攻撃するのに使用したイラン製の自爆ドローン「シャヘド136」。写真はウクライナ軍が撃墜したものの残骸(画像:キーウ市国家管理局)。

 皮肉なことに、飛行場の防空においてVADSは現在も有効な手段であり、決して時代遅れの兵器ではなかったのです。もし、ウクライナ戦争が数年早く勃発していたら、逆にVADSの退役が1年遅かったなら、その決定は見直され現役続行するという決断もあり得たかもしれません。

 ただし、そうした場合でも操作要員として割り当てる人的リソースに余裕がないという問題点は解決できません。2021年以前、航空自衛隊では航空機整備や基地業務を担っている隊員に対し、VADSの操作能力を付与する訓練を行っていました。仮に現役復帰できたとしても誰に扱わせるのかについては、また別の問題です。

 結局のところ、一番のネックは航空自衛隊の隊員数が絶対的に不足していること、それがすべての元凶であると言えるでしょう。

【了】

【見ろ、薬莢がまるで滝のようだ!】航空自衛隊のVADS射撃を正面から見る(写真)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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