マンガや映画で大活躍! 世界初の実用VTOL機「ハリアー」完全退役まもなく 最後まで残るのは?

「ハリアーII」最後まで使うのはアメリカじゃない?

 アメリカ海兵隊がAV-8B「ハリアーII」の退役を進める理由はいくつかありますが、最も大きな理由は後継機であるF-35B「ライトニングII」が優秀な機体だからでしょう。

 F-35Bは第5世代戦闘機であり、その戦闘能力はAV-8Bと比べ桁違いに高いといえます。レーダーに見えにくいステルス機であるのはもちろん、機体が搭載するレーダーやセンサーシステムも高性能で、搭載できる兵器類もAV-8Bより多種多様です。

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2024年3月29日に卒業したAV-8Bの学生パイロットであるジョシュア・コーベット大尉。この時に卒業した2名が、AV-8Bの最後の教育を受けた隊員となる(画像:アメリカ海兵隊)。

 AV-8Bは攻撃機として開発され、現在の最終モデルであるAV-8B+ではレーダーを装備したことで中距離空対空ミサイルAIM-120「アムラーム」を運用できるまでに性能向上が図られています。しかし、F-35Bは当初より対空戦闘も考慮して開発されているため、超音速飛行が可能なだけでなく、機動力についても格段に優れており、データリンクによって他のプラットフォームとの連携した戦闘まで行えます。

 それでいて、F-35Bは搭載するリフトファンと折り曲げ式ノズルによって、短距離離陸と垂直着陸(STOVL)ができ、AV-8Bのような強襲揚陸艦や野戦滑走路からの運用も可能です。

 現在、AV-8Bを運用しているのは、アメリカ海兵隊以外にはイタリア海軍とスペイン海軍があり、それぞれが軽空母の艦載機として用いています。ただ、前者はアメリカ海兵隊と同様にF-35Bへの機種転換が進められていることから、後者、すなわちスペインが世界で最後の「ハリアーII」運用国になるようです。

【了】

【なんかおかしい…】唯一無二! まるで「やじろべえ」なAV-8Bのタイヤ配置(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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