廃止された「うめきた」の貨物駅跡 将来は再び鉄道の要衝に?

「うめきた」に複数の新路線構想、廃駅跡地が鉄道の重要拠点に?

 梅田貨物駅跡を再開発する「うめきた」。この2期地区地下には北梅田駅(仮称)が設置される予定ですが、そこには様々な鉄道の構想があります。

 現在、JRの関空特急「はるか」や和歌山方面への特急列車は新大阪駅から梅田貨物線を経由し、大阪駅を通らないで大阪環状線に入っています。またこの貨物線は、福島駅付近でなにわ筋と踏切で交差。渋滞の原因になっています。

 そこで梅田貨物線を「うめきた」経由で地下化し、合わせてその地下空間、大阪駅からほど近い場所へ北梅田駅を設置。「はるか」などを停車させることにより、梅田地区から関西空港、和歌山方面へのアクセスを向上させるという計画があります。この新ルートと新駅について、2014年1月に行われた毎日新聞の報道では2015年度の着工、2022年度末の開業が目指されており、北梅田~関空間は最速45分程度で結ばれるとしています。ちなみに現在、大阪~関空間はJRの「関空快速」でおよそ65分から70分前後です。

 また放出~久宝寺間で運転されているおおさか東線はいま、放出駅から新大阪駅までの延伸工事が2018年度末の開業を目標に進められており、それをさらに新大阪駅から北梅田駅まで直通させる計画があります。

 大和路線のJR難波駅、南海線の難波駅と新大阪駅を、なにわ筋の地下に建設した新線を使い、北梅田駅経由で結ぶ「なにわ筋線」という計画も考えられています。国土交通省が2012年に出した資料によるとこれが実現し、合わせて南海本線の改良と高性能車両の導入が行われると、北梅田~関空間が最速約34分で結ばれる可能性があると試算されています。

 そして、地下鉄四つ橋線の西梅田駅と阪急の十三駅を「うめきた」経由で結ぶ「西梅田・十三連絡線(仮称)」構想もあります。国土交通省近畿運輸局が2009年に出した資料では「一定の需要と高い整備効果が見込まれ、事業性は概ね良好」とのことです。この路線については、阪急が鉄道事業免許を持っていながら実現していない十三~新大阪間の「新大阪連絡線」と合わせ、四つ橋線と新大阪駅を「うめきた」・十三駅経由で結ぶことも考えられています。

 また2009年には、橋下大阪府知事(当時)が梅田周辺と関空をリニアモーターカーで結ぶ構想を打ち出したこともあります。

 これらのうち、現時点で完成時期がある程度具体的になっているのは梅田貨物線の地下化とそこへの北梅田駅設置だけですが、もしかすると将来、駅が廃止されて生まれた「うめきた」が、再び鉄道の要衝になっているかもしれません。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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1件のコメント

  1. 昭和時代s50年頃は クロネコがない時代は 国鉄貨物が主流であったね。
    よく、荷物送ったね(´・ω・`) 500、800円 出してね。
    もう、梅北も お目蔭無しで 更地となり 時代の流れで仕方がないよね。
    さらば 昭和時代の思いで