JR九州も実用化へ 進化する新世代の蓄電池式車両

JR九州は、ディーゼルカーに替わる次世代車両として期待されている「架線式蓄電池電車」を筑豊本線に導入すると発表。JR東日本も同様の車両を今年から走らせており、現在は架線式蓄電池車の黎明期といえる状況になっていますが、蓄電池を使う鉄道車両自体は古くから走っていたりします。

引火の危険があるため使われている蓄電池車も

 JR九州はこの架線式蓄電池車について、「当社としては初めての営業線への導入となり、交流電化区間で充電する蓄電池電車では日本で初めて」としています。

 同様の方式を用い「直流電化区間」で走行する蓄電池電車はJR東日本が実用化しており、2014年3月から東北本線・烏山線の宇都宮~烏山間(栃木県)において、「ACCUM(アキュム)」という愛称を持つEV-E301系が走っています。

 また架線を使った走行・充電を行わない蓄電池車ならば、実は現在から64年も前に同じ九州で登場していたりします。1950(昭和25)年、南宮崎駅と内海駅を結んでいた宮崎交通線(現在のJR九州日南線)に蓄電池で走る車両チハ101が導入され、青島への観光客輸送などに活躍しました。同線では蓄電池で動く機関車も使われています。

 蓄電池車自体はこのように古くから存在していましたが、一般的になることはありませんでした。しかし現代の架線式蓄電池車は、ディーゼル車より優れた環境性能やエネルギー効率を実現。JR東日本とJR九州から相次いで登場し、架線式蓄電池車の黎明期ともいえる現在、その開発が進行すれば非電化区間の状況が一変していくかもしれません。

 ちなみに現在、富山県の関西電力黒部専用鉄道では蓄電池式機関車が使用されていますが、その理由が独特です。

 この路線は黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅からさらに奥へ進み、黒部川第四発電所(黒四発電所)付近まで6.5kmに渡って延びる関西電力の専用線で、その途中に「高熱隧道」と呼ばれる区間があります。その名の通り熱気を帯びたトンネルで、ディーゼル車では引火の危険があるため、蓄電池で動く機関車を使っているのです。

 「高熱隧道」内の気温は現在40度程度となっていますが、昭和10年代に行われた掘削当時の岩盤温度はなんと160度にもなっており、その困難を極めたトンネル掘削工事は小説にもなっています(吉村昭『高熱隧道』)。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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