SLの蒸気を使用 大井川鐵道の珍しい暖房システム、今冬も使用開始

大井川鐵道のSL列車では、いまや大変珍しくなった暖房システムを採用しています。SLの蒸気を使って車内の暖房をしているのです。いったいどのようなものなのでしょうか。また2015年のお正月、大井川鐵道では「お年玉」のプレゼントも行われます。

客車からも湧き上がる蒸気

 静岡県を走る大井川鐵道では今年も、現在では特殊になったある暖房装置を使ってSL列車を運行する季節になりました。

 その特殊な暖房装置とは「蒸気暖房」です。大井川鐵道のSL列車では、蒸気機関車から乗客のいる客車へ蒸気を供給。その熱を使って車内を暖めています。

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蒸気暖房が行われ、客車の床下からも蒸気が湧く大井川鐵道のSL列車(画像提供:大井川鐵道)。

 かつて、こうした機関車で客車をけん引するスタイルの列車では、このように機関車から供給される蒸気を使って車内を暖房するのが主流でした。そのため蒸気機関車以外の電気機関車やディーゼル機関車にも、客車へ蒸気を供給するため「SG(Steam Generator)」と呼ばれる蒸気発生装置が搭載されていた時代があります。SL以外に、電気・ディーゼル機関車も蒸気を作り出していたのです。

 そのため当時、冬になると客車の床下から、機関車から供給された暖房用蒸気がわきあがり、特に日が暮れたのちは夜陰に白い蒸気が舞って、幻想的な風景を作っていました。

 しかし昭和30年代から徐々に電気を使った暖房がメインとなり、蒸気暖房は現在の日本でほとんど見ることができなくなっています。

 鉄道の珍しい暖房装置と言えば「ストーブ列車」が有名です。しかし「蒸気暖房」という昭和の鉄道を支えた昔ながらの暖房装置が、大井川鐵道などでごく少数、いまなお使われているのはあまり知られていないかもしれません。またSL列車は全国各地を走っていますが、「SL列車」=「蒸気暖房」というわけではありません。蒸気暖房はSL列車のなかでも少数派です。

 この蒸気暖房について、大井川鐵道によると「エアコンとはちがう暖かさかもしれません」とのこと。同鉄道ではこの年末年始、12月19日から1月5日まで蒸気暖房を使ったSL列車が毎日運転されています。

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