北海道を走るJR最後の急行、存続へ
1年後に再び「急行」消滅の危機
しかしJR最後の急行「はまなす」について、その先行きが非常に不透明なのは変わりません。その理由として先述の車両老朽化問題があるほか、2016年春に北海道新幹線が開業すると、青函トンネルで現在急行「はまなす」をけん引している機関車が使えなくなる――つまり現在の車両では青函トンネルを通れなくなるからです。
そうした問題を抱えた急行「はまなす」。北海道新幹線開業と共に廃止されてJRから「急行」が消滅し、そこから派生した「特急」だけが残る状態になってしまうのか。その未来が注目されます。
ちなみにJR・国鉄から急行が衰退した理由のひとつに、存在が中途半端になったことが挙げられます。特別急行が急行の上位列車として明治末期に登場した当初、運転本数が限られ文字通り特別な存在でした。しかし、次第に特急は運転本数が増え大衆化。乗車に別料金が必要ながら特急ほど速くなく設備も劣る急行は、大衆化した特急と料金不要の快速・普通列車のあいだで中途半端な存在になっていったのです。
また、寝台特急「北斗星」は2015年3月14日のダイヤ改正で定期運行を取りやめるものの、引き続き臨時列車として走ります。しかしJR北海道は「北斗星」を「(列車の運行が)可能な時期(8月下旬頃まで)まで、臨時列車として運転」としているため、早ければ2015年夏で見納めになるかもしれません。
「北斗星」と同じく上野~札幌間を結ぶ臨時寝台特急「カシオペア」は、札幌行き下り列車の時刻変更が行われますが、2015年3月のダイヤ改正以降も引き続き運行されます。しかし「カシオペア」についても、現状の車両では北海道新幹線の開業に伴い青函トンネルを通れなくなるため、その将来が危惧されているのは「はまなす」と同様です。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
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