140倍になった東京の地下鉄 「初」が多かったその誕生

現在の鉄道に不可欠な「日本初」が多かった東京の地下鉄

 1927年に東京で開業した日本初の地下鉄には、ほかにも「初」が多くあります。そのひとつが日本初の自動改札機です。10銭硬貨をゲートに入れ、腕木を回転させて中へ入るという、現在でも遊園地などでしばしば見られるタイプものでした。

 またしばしばニュースで耳にする、赤信号などで列車を自動的に停止させるシステム「ATS(Automatic Train Stop、自動列車停止装置)」を日本で初めて実用化したのも、この東洋初の地下鉄でした。そのため特に決まってはいませんが、12月30日は自動改札機とATSの記念日とも言えるかもしれません。

 こうした現在の鉄道では不可欠になっている「ハイテク装置」と共に登場した東洋初の地下鉄は、3分間隔で運転を開始。大きな注目を集め、開業初日だけで10万人の利用があったといいます。

 ちなみにこの東洋初の地下鉄は、早川徳次が設立した「東京地下鉄道」という会社によって建設、運行されました。早川は「地下鉄の父」と呼ばれ、銀座駅と地下鉄博物館に胸像が設置され、現在もその功績が讃えられています。

 また東京地下鉄道は1941(昭和16)年、国の方針で東京にあったほかの地下鉄会社と統合され特殊法人「帝都高速度交通営団」となり、2004(平成16)年に現在の「東京地下鉄(東京メトロ)」になりました。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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