これがなければ「のぞみ」は静岡止まり? JR東海、周波数変換装置を取り換え

横浜市の綱島などに合計4ヶ所

 東海道新幹線では周波数変換変電所(FC:Frequency Conversion substation)を、沿線の4ヶ所に設置しています。東京都内の大井FCと神奈川県内の綱島FC、西相模FC、そして静岡県内の沼津FCです。

 現在、大井FCと沼津FCには「静止形」の周波数変換装置が1台ずつ設置されています。綱島FCは「静止形」1台と「回転形」3台の合計4台、西相模FCは「回転形」3台です。つまり東海道新幹線には4ヶ所の周波数変換変電所と、9台の周波数変換装置があることになります。

 今回、JR東海が進める周波数変換装置の取り換えは、綱島FCに設置されている回転形の1台と、西相模FCに設置されている回転形の1台をそれぞれ静止形に置き換えるものです。

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左が「回転形」、右が「静止形」の周波数変換装置(画像:JR東海)。

 「回転形」の周波数変換装置は、電力会社から届く50Hzの電気でモーターと発電機を作動させ、60Hzの電気を生み出す機械的な変換装置です。これに対し「静止形」は、50Hzの電気をコンバータとインバータを通すことで60Hzに変換するという、パワーエレクトロニクス技術を活用した機械的動作のない変換装置です。そのため静止形には機械の回転によるエネルギーの損失がないことから効率に優れ、定期点検時に機器を解体する必要もないというメリットがあります。

 JR東海によると、回転形の装置をそのような利点を持つ静止形へ置き換えることによって電力消費量を約2%削減できるほか、定期点検に伴う停止期間を短縮できるため、さらなる安定輸送を図れるとのこと。工事費は134億円です。

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コメント

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6件のコメント

  1. 東海道新幹線も順次新しい車両に切替えているようですが、このタイミングで長野新幹線のような両周波数対応車両に
    切替えて、全部切り替わったところで古い周波数変電所を更新せず廃止、という流れにならなかったのはなぜでしょうか?
    周波数変電所の更新・増設費用の方が安く上がったのでしょうか?

  2. 50Hz区間と60Hz区間の割合が、(山陽区間も含めると)圧倒的に60Hz区間の方が長いというのも理由じゃないでしょうか?
    150km程度の50Hz区間に対応させるために、わざわざ全車両をリプレイスするよりは、地上設備で対応した方がトータルでみて低コストだという判断もあるかと思います。

    • なるほど、確かに、東京~博多で考えれば、東京から静岡ってのはごく一部ですね。
      周波数両用車両が増えれば、JR間でいろんなパターンの乗り入れや車両融通も可能にならないかなとか思ってました。
      周波数だけでなく安全管理などの統一も大変そうだし、そういうのは当分なしですかね。
      車両融通や東京で新幹線乗り換えなしって需要も現実にはなさそうですし。

  3. 昔の機器は50Hz専用機とか60Hz専用機があった程で良くてスイッチ切替出来るって位でしたね。
    インバーターの登場で周波数変化が自在になるとヘルツフリーになったり本来回転数変化には適している交流モーターが扱いやすくなったりと交流のほうが都合良くなりました。
    東海道新幹線の場合は60Hz地域が圧倒的に長いのと本来周波数が高いほうがメリット大きいので60Hzに統一したんでしょうが
    まだ国鉄が続いていて東北新幹線と直通となっていたらどうだったんでしょうかね?

  4. リニアができたら鹿児島中央駅~札幌まで一直線にできるかもしれないからそのための準備では。

  5. 中学生の頃、学校の文化祭で展示する目的で、HOゲージの鉄道模型(80/1、直流12~15Vもしくは交流20V)で、交直両用電車の実験を公開した。国産規格のほとんどは直流15V、ドイツのメルクリンのみが交流20Vだったので、両区間を絶縁レールを挟んで接続し、車両は国鉄401系で、TcMM'Tcの4両固定編成(全長1m)。

    直流区間ではMのパンタグラフから集電してリレー1がONとなり、普通にモーターを駆動て走り、絶縁区間ではリレー1がOFF、M'内蔵の9Vバッテリーで25㎝の絶縁区間を通過、交流区間で再びMのパンタが感電すると、交流リレー2がON、ブリッジ整流ダイオードを通り整流された直流が、独メルクリン社製の逆転スイッチ(元々は交流をオンオフごとに逆転させるリレー)を介してモーターを駆動した。もちろん、ちっぽけな弱電の模型では、周波数など無視できた。