お座敷車両の貸切が1人1000円以下 格安キャンペーンの背景にあるローカル鉄道の願い 秋田内陸縦貫鉄道

キャンペーンの理由は地方とローカル線が抱える問題

 なぜこのように、貸切車両をさらに格安で利用できるキャンペーンが実施されたのでしょうか。

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秋田内陸縦貫鉄道のお座敷車両。「マタギの里」がイメージされたデザインで、掘りごたつにもなる(画像提供:秋田内陸縦貫鉄道)。

 理由として秋田内陸縦貫鉄道は「沿線人口の減少による乗車人数の減少」を挙げます。同鉄道は秋田県の内陸部を結び、地方が抱える過疎化や少子化の問題、また車社会化の大きな影響を受けており、1989(平成元)年度には年間100万人を超える乗車人員がありましたが、2011(平成21)年度は約41万人。地域や商工会などが協力し、鉄路を存続させるための活動を続けています。

 こうした状況のなか秋田内陸縦貫鉄道は乗車人員を増やすにあたって、まずとにかく乗ってもらい、今後また鉄道を使ってくれるきっかけになればという想いで、こうした格安キャンペーンを実施することにしたといいます。

 老若男女幅広い人々が乗車する大都市の鉄道とは異なり、普段は高校生やお年寄りといった「交通弱者」の利用が目立つ地方のローカル線。沿線には、鉄道と縁のない日常を送っている人が少なくありません。

 そうした沿線に暮らしながらも普段は鉄道を利用しない人たちは、潜在的な利用者とも考えられます。そうした人たちがキャンペーンで鉄道に触れ、今後は時々でも使うようになってくれれば、また「自分たちの故郷の鉄道」という意識が芽生え積極的に応援してくれるようになれば、乗車人員の減少、そして路線の存廃という問題に対して効果が出てくるかもしれません。

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