なぜ経営破綻 より大型の機材を求めたスカイマーク2度の誤算

スカイマーク再建の道は?

 しかしこの頃から、円安によるドル払いの航空機リース料が増加していた事実があったほか、燃油の高騰も負担になっていました。

 そして新しく導入された大型のA330型機は2014年6月に羽田~福岡線で就航しましたが、思ったほど客足が伸びず、同年に5機が就航したところで、ほぼ取り返しのつかない赤字運航に陥っていたと考えられます。設立当初、中型の767型機を使って状況が悪化し、小型の737型機にした教訓があったにも関わらず、同じような形で失敗してしまったともいえるでしょう。

Large 20150212 skymark 02.jpg
1月31日で運航を停止したスカイマークのエアバスA330型機。2月以降、同社の全便がボーイング737型機に再び統一された(2015年1月、坪田敦史撮影)。

 そして総2階建てのA380型機は2014年後半に1号機が納入される予定でしたが、スカイマークにはもうそんな大きな機材を調達、維持できるだけの資金は残っておらず、同年7月、エアバスはスカイマーク側の不払いを理由に購入契約を解除する、という事態になったわけです。

 スカイマークは当初、A380型機を1機あたり319億円で6機導入する計画で、2014年4月までに265億円を支払い済みでした。しかし契約解除以降は約830億円の違約金支払いなどを巡ってエアバス側と協議が難航したままです。

 前述のように大型機導入へ舵を切るまで、スカイマークの経営戦略は悪くありませんでした。したがってもう一度、機材の統一を図ることで運航、整備コストを削減し、路線も羽田~福岡、新千歳、神戸、那覇といった需要の多い区間に集約。さらにJALやANAとの共同運航を実現させ、再建への道を正しく歩むことが現時点では賢明といえるでしょう。

【了】

Writer: 坪田敦史(航空ジャーナリスト)

航空ジャーナリスト。パイロットの資格を持つ。航空会社、空港、航空機などの記事執筆・写真撮影を20年以上続ける。『わかりやすい旅客機の基礎知識』(イカロス出版)、『ヘリコプターの最新知識』 (SBクリエイティブ)など著書多数。最近はボーイング787、LCC、オスプレイといった航空関連トピックで、テレビや新聞でもコメンテーターとして活躍中。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。