列車を襲った津波 そこで得られた5つの教訓

東日本大震災では、列車も津波の被害を受けました。幸いにも人的被害は発生しませんでしたが、ちょっとした違いが明暗を分けるなど紙一重だった部分もあり、大きな教訓が得られています。

わずか1km少々の「大きな違い」

 JR仙石線の石巻発あおば通行き普通1426S列車では、野蒜駅(宮城県東松島市)を発車した直後に地震が発生します。列車は緊急停止し、乗務員と乗り合わせていたJR社員2名が、指定避難場所である野蒜小学校まで乗客を誘導。列車はその後襲来した津波で脱線してしまいましたが、乗員乗客は小学校へたどり着くことができました。

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津波の被害を受けた仙石線野蒜駅(2012年3月、恵 知仁撮影)。

 また同じくJR仙石線のあおば通発石巻行の快速3353S列車も、野蒜駅を発車した直後に緊急停車。近隣の避難場所も同様に野蒜小学校でしたが、乗客はそこへ避難しませんでした。乗務員がマニュアル通り、東松島市の指定避難場所である野蒜小学校へ乗客を誘導したところ、元消防団員の乗客が「列車が止まっている場所のほうが小学校より高台にあり、移動中に津波が来るかもしれない」と助言したのです。

 乗務員は、停車した場所へ留まることを決断。そして津波に襲われることなく、乗員乗客全員が難を逃れることができました。しかし乗務員は「指定避難場所へ行く」というマニュアルとその助言に葛藤したといいます。

 この野蒜駅を発車した直後に緊急停車した2本の列車。わずか1km少々しか停車位置が変わりませんでしたが、そのわずか1km少々で、明暗が分かれることにもなっています。指定避難場所である野蒜小学校が津波に襲われ、犠牲者が出てしまったのです。

 JR東日本はこの仙石線や常磐線などでの被災を教訓に2012年1月、次の「津波避難行動心得」を策定しています。

(一)大地震が発生した場合は津波を想起し、自ら情報を取り、他と連絡がとれなければ自ら避難の判断をする(避難した結果、「津波が来なかった」ということになっても構わない)。

(二)避難を決めたら、お客さまの状況等を見極めたうえで、速やかな避難誘導を行う。

(三)降車・避難・情報収集にあたっては、お客さま・地域の方々に協力を求める。

(四)避難したあとも、「ここなら大丈夫だろう」と油断せず、より高所へ逃げる。

(五)自らもお客さまと共に避難し、津波警報が解除されるまで現地・現車に戻らない。

 もうまもなくの2015年5月30日(土)。JR仙石線はルートを一部高台へ移して、いよいよ全線で運行を再開します。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

2件のコメント

  1. 震災は3月11日です。極めて不愉快。

  2. 記事に誤植があります。冒頭で東日本大震災が発生した日付が「3月14日」になっています。

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