鍵はストレス? 子どもの乗りもの酔いを避けるには
「乗りもの酔い」とは、いったいどのような状況で起こるのでしょうか。小児科医にその発生メカニズムを聞いたところ、それを回避できるかもしれない方法が分かりました。
まず「乗りもの酔い」ってどんなもの?
さあ、夏休み本番です。夏休みといえば家族旅行。小さな子を持つ我が家でも、夏休みに小旅行の計画を立てました。行き先は和歌山。空港でレンタカーを借り、「アドベンチャーワールド」へパンダを見に行きたいと思っているのですが、そこで気になることがひとつ。ご近所さんの「子どもが乗りもの酔いをする」という話を聞いて、少し不安になってしまいました。
子どもが苦しんでいる姿は、親なら見たくありませんよね。「乗りもの酔い」とは、いったいどのような状況で起こりうるのでしょうか。そして、避ける方法はあるのでしょうか。息子のかかりつけ小児科医でもある「武蔵小山サンタハウスこどもクリニック」(東京都品川区)の山田勝敏院長にそのメカニズムを聞いたところ、それを回避できるかもしれない方法があると分かりました。
――「乗りもの酔い」とは、いったいどのような症状なのでしょうか
三半規管の未発達と精神的なものによって引き起こされる、身体の不調を指します。三半規管とは、人間の平衡感覚を司る器官ですが、制御できる範疇をこえた揺れを感じると、パニックになってしまう。それによって吐き気、めまいなどの症状が出ることを、一般的に「乗りもの酔い」と呼びます。
頭が揺れをコントロールできないことで興奮状態になり、結果として気持ち悪くなる。小さい子どもは、血圧が下がるので、吐き気よりも顔が真っ青になったり、冷や汗が出ます。年齢が上がるに従って、気持ち悪くなることが多いといえます。
三半規管が発達していれば、問題ありません。体操をやっているお子さんは、日頃の訓練のおかげで酔いづらいと聞きます。
――我が子は3歳ですが、乗りもの酔いをしたことはありません
乗りもの酔いの主な原因は過度な揺れです。三半規管が自分の経験値を超えて揺れると、身体に不調をきたします。
そしてもうひとつの原因は、目から入ってきた画像と、自分のいる場所の感覚が合わないことが挙げられます。たとえば、バスに乗っているとしましょう。遠くの景色は動いているのに、自分の椅子の周りは動いていない。その感覚の「ずれ」を、子どもの脳は処理しきれません。その結果、脳が混乱して身体に不調をきたします。こちらは三半規管ではなく脳の混乱の結果、引き起こされるものです。
小さい頃はこのふたつの要因が重なって、乗りもの酔いしやすいです。ただし2~3歳以下だとあまり車酔いはしません。親に抱えられて移動することが多く、自分の意思のみで動くことがあまりないからです。そのため自分が「止まっている」「動いている」という感覚が発達していません。
自分の意思で動けるようになる3歳から上の年齢で、乗りもの酔いの症状が出やすくなります。
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