鍵はストレス? 子どもの乗りもの酔いを避けるには

乗りもの酔いは訓練も有効 ロデオマシーンで鍛えるのも?

――乗りもの酔いへの対処法を教えてください

 慣れが一番です。三半規管は訓練により、機能が発達するものです。たとえば、体操選手は空中で回転しているときも、自分がどのような体勢でいるのかを把握できるといいます。これは普段からの訓練にほかなりません。つまり、乗りものに慣れることが一番の方法です。子どもにとって身近なものでいえば、ブランコに乗るのもいいでしょう。ロデオマシーンも有効ですが……ちょっと激しすぎるかな(笑)

 次に、乗りものの揺れを物理的に抑えること。船酔いがきついといわれるのは、単純に揺れが激しいから。クルマの場合は、運転を丁寧にスムースに心がけるだけでも、子どもに対する負担は全然違います。

 そして、外の景色をよく見て、脳の混乱を避けること。バスでは一番前に座って、景色を見ると良いです。景色が見える位置にいるほうが、酔いが少なくなります。たとえば船酔いは、甲板よりも船底のほうがきついです。景色が見えないのに揺れることが酔いの原因になるということがよくわかります。甲板にいれば、心の準備ができます。

 乗用車の後部座席に座る場合は、中央の席から前方を見る。そして、窓の外を見る。遠くを見る。乗りものに乗って手元を見る行為、たとえば本を読んだりゲームをしたりすると、間違いなく酔うでしょう。

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「サンタハウスこどもクリニック」の山田勝敏院長。日本小児学会小児科専門医(撮影:ジャッカル金城)。

――乗りもの酔いのしやすさは、体調にも左右されるのでしょうか

 乗りもの酔いが起こる環境因子は決まっています。まずは、先ほどお話しした三半規管の働きの問題。寝不足・風邪・体調不良などで、三半規管がうまく機能しなければ、酔いやすくなってしまいます。

 また、以下の点にも注意してください。

・空腹:低血糖で頭が働かない。
・過食:ボーッとして頭が働かない。
・気温:体温があがりすぎると頭がボーッとしてしまう。

 そして、ストレス。

・便秘:お腹への負担がストレスに。
・衣服:きつい洋服を着ると、圧迫感がストレスに。
・におい:不快なにおいがストレスに。
・緊張:また酔うんじゃないかという緊張感がストレスに。

 これらの要因が脳の処理能力を落としてしまうと、乗りもの酔いしやすくなります。脳の混乱も、乗りもの酔いの原因ですからね。

――それらをクリアすれば、乗りもの酔いのリスクを避けられるということですね

 その通りです。まずは体調管理をしっかりしてください。早寝早起きで、出発の2~3時間前には起きる。同時に、食事と排便も済ませること。車中の温度管理には十分気を使ってください。衣服は首回り、腰回りがゆったりとしたものを。車中のにおいが気になるようでしたら、窓を開けて換気してください。また、お母さんのにおいを嗅ぐと安心することも多いので、ハグしてあげてください。そして「酔ったらどうしよう」という緊張感を与えないよう、リラックスさせてあげてください。吐いても決して、しかってはいけません。

 また車中が退屈だからといって、下を向かせるのもダメです。本を読んだりゲームをさせると、乗りもの酔いの大きな原因となります。小さいクルマよりも大きなクルマで、ゆったりとした揺れの少ない運転を心がけると、乗りもの酔いのリスクを軽減することにつながります。

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