モンキーバンド、ウォッシュラック 哨戒ヘリから見た非日常の観艦式

シャワーを浴びるヘリコプター

「ミッションコンプリートRTB グッデイ」(任務完了、基地へ帰投する。さようなら)

 ヘッドセットにその無線が流れた瞬間、気が抜けてアドレナリン濃度が下がったのか、急に強い「ヘリコプター酔い」を覚えました。乗りもの酔いに弱い人がヘリコプターへ体験搭乗する際は、事前に酔い止めを服用しておくと良いかもしれません。

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観艦式は航行中に行われる。静止状態で行う停泊観艦式に比べ緻密なスケジュール管理や艦隊指揮が必要となり、非常に難しいという(2015年10月、関 賢太郎撮影)。

 観艦式空域を離脱後、やはり10分程度で館山航空基地へ到着。しかし2時間半におよぶ海上低空飛行によって、機体やエンジンは潮風にさらされました。このままでは塩害で腐食が生じるため、着陸後は駐機場へ戻る前に「ウォッシュラック」と呼ばれるシャワー施設を通過し、機体を丸洗いして“塩”を落とします。

 そして降機。重く身動きが制限される救命胴衣を外した瞬間、海自航空機搭乗員の激務の一端を知り、思わずため息をつきました。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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