次期爆撃機LRS-B開発、米軍の目的は 弱点を持つB-2A

B-2Aが持っている弱点、それを補うLRS-B

 近い将来、アメリカ空軍の唯一の核兵器搭載戦略爆撃機となる見込みのノースロップ・グラマンB-2A「スピリット」は本来、132機が生産される予定でした。しかし、1機あたりの単価は約800億円、開発費等込みで2000億円とイージス艦(約1500億円)よりも高価であり、わずか21機の生産で打ち切られてしまいました。

 新たに登場するLRS-Bはこの、本来はB-2Aが担うはずだった残り約100機分の長距離打撃能力を補うことを目的としています。単価も約5億5000万ドル(670億円)に抑えられる見込みです。

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「全翼機」のB-2Aには水平尾翼や垂直尾翼がない(写真出典:アメリカ空軍)。

 LRS-Bの実用機型は、恐らくB-2Aと非常によく似た「全翼機」型のステルス機となるとみられますが、その機体規模はひと回り小さく、航続距離は半分以下の約5000km程度であると推定されています。また有人・無人いずれの作戦も可能ともされます。

 また、LRS-Bの開発にあたって行われたコンペティションには、今回契約を獲得したノースロップ・グラマン社のほかに、ボーイング/ロッキード・マーティン社も参加していました。そこでノースロップ・グラマン社案が選定された理由については公表されていませんが、B-2Aによるステルス爆撃機の開発経験や、航続距離・ステルス性において同社がより優れていたと推測されます。

 ただ、軍用機の開発はコストの超過とスケジュール遅れが常態化しており、LRS-Bもその宿命からは逃れられないかもしれません。2020年代半ばという実用化の目標が達成されるか、はたまた開発中止となるか。アメリカ空軍の今後を担う戦略爆撃機であるだけに、その進展が注目されます。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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